2008年3月31日月曜日

モッツァレラのダイオキシン問題

モッツァレッラのダイオキシン問題ですが、現在どうなっているのか、イタリアでの報道をいくつか見てみました。

そもそもの発端は、カンパーニアの水牛のモッツァレッラを検査したところ、130の製造所のうち25ヵ所から、EUの基準をわずかに上回るダイオキシンが検出された、というもの。
この25軒は計83の農家から水牛乳を仕入れていました。

検出されたダイオキシンの量は脂肪1gあたり6.2~6.8ピコグラム(1ピコグラムは1gの1兆分の1)。
EUの定める許容値は6ピコグラム以下。

現在、カンパーニア州では、カゼルタ、アヴェッリーノ、ナポリ県で水牛乳を扱うすべての酪農場(約400軒)を販売禁止にして検査を行っているそうです。

この問題が発表されて、韓国はイタリア製モッツァレッラの国内での販売を禁止しました。
日本、台湾、中国、シンガポールはイタリア製モッツァレッラの輸入を停止。
フランスは一次販売を禁止し(その後解除)、ポルトガルもそれに続きました。

これらを受けて、イタリアの農相がモッツァレッラを食べてみせるパフォーマンスをした映像は日本でも流れましたねえ。
農相は、検出されたダイオキシンの量はごく微量で健康には問題はない、韓国は神経質すぎるとコメントしています。

農相のパフォーマンス
 ↓



中国は、すべてのイタリア製チーズに3週間の検疫期間を課すことにしました。
これは事実上、イタリア製フレッシュチーズの輸入禁止です。
ところが、モッツァレッラの生産者団体によると、中国はこれまでモッツァレッラを商業ベースで輸入したことはないそうです。
ちなみに、モッツァレッラの輸出総額4800万ユーロのうち、日本への販売額は230万ユーロ(2005年)。
5パーセント未満です。
モッツァレッラの主な輸出先はフランス、ドイツ、イギリス、アメリカなどですが、イギリス政府は現時点では特に規制するつもりはないと言っています。
アメリカも輸入停止などの措置は取っていません。

カンパーニアのモッツァレッラの中でも、サレルノ県のものは今回の販売禁止措置や検査対象にはなっていません。
でも、カンパーニア産ということでひとくくりにされて、生産者は苦戦しているようです。
サレルノの酪農場が、私たちの製品は安全、と訴えて、こんな動画をupしていました。




モッツァレッラの輸入に関しては、アジアと欧米ではかなり違う反応が出ているようです。
イタリアでは、大した問題ではないから気にしない、という意見と、カゼルタやナポリのものは食べない、という意見の両方があるようです。
風評被害は、食品業界ではある意味避けて通れない試練。
ナポリのゴミ問題が原因だ、輸入乳のせいだ、などさまざまな憶測が飛び交っているようですが、後はイタリアがどんな捜査をし、どう対応するかにかかっていますよね。


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2008年3月28日金曜日

グラナ・ロディジャーノのラスパドゥーラ

今日はチーズのグラナ・ロディジャーノの話。

こんなチーズです。

名前や姿からも想像がつくように、グラナ・パダーノによく似た硬質チーズです。
産地はロンバルディアのローディを中心とした地方。

ローディはミラノの南東の町。
ポー河流域の、パダナ平野と呼ばれる地域の一部にあって、グラナ・パダーノの産地でもあります。


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Lodi
Originally uploaded by Sunshiney2006




『サーレ&ペペ』今月配本号の「グラナ」のリチェッタの中に、このチーズが出てきます。

グラナ・ロディジャーノはグラナ・パダーノによく似たチーズなので、産地でもグラナ・パダーノに押されて、かなり数の少ない貴重なチーズとなりつつあるようです。
グラナ・パダーノとの違いは、レンネットで固まったカードを型に移した時、グラナ・パダーノはプレスしてホエーを出しますが、グラナ・ロディジャーノはプレスをしません。
そのために、2年から4年熟成させて出来上がった後も、「ラクリマ」と呼ばれる水滴が気泡の跡から染み出してきます。

このチーズで有名なのは、“ラスパドゥーラraspadura”です。
これ

「ひっかく」という意味のラスパーレという言葉が語源。
3~8か月熟成させた若いグラナ・ロディジャーノを、ナイフでひっかくようにしながら削った薄いフリル状のものをこう呼びます。
こちらの写真はラスパドゥーラを作っている所。
ローディでは、サルメリーアや市場などで、こうやってチーズを削って売っている姿を見ることができるそうです。
美しいフリルにするには熟練の技が必要。

このラスパドゥーラ、元々は、グラナから売り物にならない硬い部分を削り取ったもので、貧乏人の食べ物と言われていたそうです。
それが時代と共にグルメな食べ物として知られるようになり、星つきレストランでも出すようになっていったのでした。
レストランでは、客の前で削ってリゾットにのせるところもあります。
『サーレ&ペペ』では、リコッタと卵を混ぜて焼いたチーズケーキに、このグラナをのせていましたね。
粉にしたチーズと違って、フリル状のチーズは見た目がかなりゴージャス。
シンプルなリゾットも何やら特別な一品に変身します。
スカロッピーネにのせるとこんな感じになります。


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関連誌;『サーレ&ぺぺ』今月配本号/2006年3月号(2008年3月現在クレアパッソで販売中)
ラスパドゥーラを使ったリチェッタは「総合解説」に載っています。


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2008年3月27日木曜日

ヴァッレ・ダオスタ風コトレッタ

今日はコトレッタの話。


Chicken cutlets
Originally uploaded by Marco40134



この写真は鶏肉のコトレッタですが、先月リチェッタを訳して以来、頭から離れないのはヴァッレ・ダオスタ風コトレッタ
イタリア語ではコトレッタ・アッラ・ヴァルドスターナcotoletta alla valdostana。
今月配本の『ア・ターヴォラ』の記事です。

こちらはヴァッレ・ダオスタの特産品フォンティーナの管理組合のhpで紹介されているヴァッレ・ダオスタ風コトレッタ。

要は、コトレッタ・アッラ・ミラネーゼにハムとチーズをのせて、オープンでチーズが溶けるまで焼いた1品です。
ハムではなく生ハムをのせるリチェッタの方が一般的かもしれません。

コトレッタと言えば、もちろんミラノ風。
皿からはみ出しそうなほど大きく広げた柔らかい子牛肉と、バターの香りが香ばしい細かいパン粉の黄金色の衣。
これにルケッタとプチトマトをたっぷり添えるのが、ミラノ風コトレッタの定番の姿。
これはミラノのオステリーア・ボッロメイHosteria Borromeiのコトレッタ・アッラ・ミラネーゼ。
 ↓



その次に有名なのが、このヴァルドスターナでしょうか。
ボローニャ風コトレッタ、コトレッタ・アッラ・ボロニェーゼcotoletta alla bologneseというのもあります。
これは、ミラノ風コトレッタにハムと削ったパルミジャーノをのせ、ブロード少々とトマトソースをかけて火にかけてチーズを溶かしたもの。
こんな料理。
いわば、豚カツを出汁と卵で閉じるような感覚かなあ。
ご飯のないかつ丼?

コトレッタは、トッピング次第で様々なパリェーションができそうですね。
実際ミラノには、コトレッタを様々なトッピングで食べることができるコトレッタ専門店なるものがあります。
その名もコトレッテリーア。
店のhpはこちら

店のメニューを見てみると・・・
“コトレッタ・ベーコン”は目玉焼きとベーコンのせ。
“コトレッタ・シチリアーナ”はなすのグリルとオリーブ、ケッパー。
トマトソースとモッツァレッラをのせた“マルゲリータ”なんていうのもあります。
この店のヴァッレ・ダオスタ風はフォンティーナとポルチーニのせ。
それもおいしそうだなあ。

これがこの店のプレーンのコトレッタ。




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関連誌;『ア・ターヴォラ』今月配本号/2006年3月号(2008年3月現在、クレアパッソで販売中)
ヴァッレ・ダオスタ風コトレッタの記事とリチェッタは「総合解説」に載っています。


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2008年3月26日水曜日

モデナのオステリーア・ジュスティ

モデナのバルサミコ酢を巡る旅、その9です。

『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事では、きのう書いたオステリーア・ディ・ルッビアーラを始めとして、バルサミコ酢を使った料理を食べたい人にお勧めの店を色々紹介しています。
その中から、モデナ市内にあって、家庭料理をベースにしたモデナの伝統料理を出す店を1軒ピックアップします。

オステリーア・ジュスティです。

オステリーア・ジュスティは、1605年創業のヨーロッパで一番ー古いサルメリーア、ジュスティの奥にあります。
サルメリーアのレストランとは言っても、ミシュランで1つ星を獲得しています。

サルメリーア・ジュスティの入り口。
オステリーアへもここから入ります。
 ↓

via Farini
Originally uploaded by Aelle



地図の左のマークは世界遺産のグランデ広場。
右がオステリーア・ジュスティ。


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この店、1605年以来、1980年まで、ずっとジュスティ家が経営してきました。
ところが、ジュスティ家最後の当主、ジュゼッペ・ジュスティさんには子供がいませんでした。
かねてからトラディツィオナーレのバルサミコ酢造りに専念したいと考えていた彼は、店で16歳の時から働いていた若い店員(当時はおそらく29歳)、アドリアーノ・モランディさんに店を継がせることにします。

店の経営を任されたアドリアーノさんは、1989年に店の一角を改装して小さなオステリーアを始めました。
テーブルは4つで、営業は昼だけ。
奥さんのラウラが料理を作り、息子のマッテオと娘のチェチーリアがサービスの担当。
料理は、モランディ家の味をベースにしたモデナの伝統料理です。
2002年にはミシュランで星が1つつきました。

サルメリーアだけでなくオステリーアも有名になり、世界中から客が訪れました。
ところが、突然、思ってもいなかったことが起きます。
2005年に、アドリアーノさんが他界してしまったのです。
一時店を閉めた期間もあったようですが、現在は、残された奥様と子供たちが頑張って店を切り盛りしています。
2006年にはサルメリーアの権利も購入したそうです。

店のhpのこちらのページでは、アドリアーノさんが他界したことを伝えています。
その上の写真で、残された3人は穏やかに微笑んでますが、きっとお父さんの残したものを守っていくぞー、という強い決意を抱いていることでしょう。

こちらこちらの写真はオステリーア・ジュスティの料理。

正統派の伝統料理ですね。

店のメニューは、ニョッコ・フリットと生ハム類の盛り合わせ、
去勢鶏のインサラータのトラディツィオナーレのバルサミコ酢がけ、
ミネストローネのフリッテッレ、お米のフリッテッレ、バッカラのフリッテッレ、
自慢のパスタのタリアテッレ、タリオリーニ、トルテッリーニ、トルテッローニ、
ビアンコマンジャーレ(ポルペッティーネ入り鶏のブロードの白いスープ)、
珍しいモデナ風ラザーニャ、
コテキーノ、ザンポーネ、
子牛頬肉の煮込み、乳飲み子豚のオーブン焼きなど。

そう言えば、この店のリチェッタを訳したことを思い出しました。
『クチーナ・エ・ヴィーニ』2006年3月号の、「オステリーアの伝統料理」という特集記事です。
グアンチャーレのタリアテッレがすごくおいしそうでした。
玉ねぎのソッフリットに熟成させたグアンチャーレの小角切りを入れて脂がやや溶けるまで炒め、ホールトマトと塩を加えて30分煮たサルサでした。
ここにゆでたタリアテッレを入れてなじませ、おろしたパルミジャーノでマンテカーレしたら牛乳数滴でつなぎます。

こちらのサイトの動画では、ラウラさんが店を紹介しています。
店のスペチャリタの1つ、“コテキーノのフリットのランブルスコのザバイオーネがけ”も登場します。

オステリーア・ジュスティ Hosteria Giustiのhpはこちら
4卓しかないので要予約。
日曜定休のようですが、店に確認してください。
夜は団体(16~24人)の予約があったときだけ営業。


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関連誌;「モデナのバルサミコ酢を巡る旅」は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年3月号(2008年3月現在、クレアパッソで販売中)の記事を解説しています。
記事の日本語訳は「総合解説」に載っています。


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2008年3月25日火曜日

バルサミコ酢の匠の店、オステリーア・ディ・ルッビアーラ

モデナのバルサミコ酢を巡る旅、その8です。

今日は、きのう紹介したバルサミコ酢造りの達人、イタロ・ペドローニさんとその家族が経営するレストラン、オステリーア・ディ・ルッビアーラ Osteria di Rubbiaraの話。

店は、モデナ郊外のルッビアーラという所にあります。
地図を「写真」にしてズームすると分かるのですが、畑の真ん中です。


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店のhpはこちら

なんでも、モデナで2番目に古いオステリーアなんだそうで。
料理はイタロさんの奥様が作っています。

メニューは手打ちパスタ、セコンド、ドルチェのフィックス。
プリーモは、トルテッリーニ・イン・ブロード、
リコッタのトルテッローニの生バター和え、
肉のラグーのストリケッティ、またはマッケローニ・アル・ペッティーネなど。
プリーモを残したらセコンドは出さない、とhpに書いてありますねえ。

セコンドは、豚肉のローストの盛り合わせとじゃがいものオーブン焼き、
玉ねぎのフリッタータのトラディツィオナーレのバルサミコ酢がけ、
鶏肉のランブルスコ風味、
うさぎ肉のバルサミコ酢がけ、
うさぎ肉のカッチャトーラ、
コテキーノといんげん豆など。

ドルチェはリコッタのトルタ、
タリアテッレのトルタ、
ジェラートのバルサミコ酢がけ、
自家製ジャムのクロスタータなどなど。

どれも素朴な伝統料理ですね。
自家製ワインや食後酒も多数あります。

この店で食事をした人たちのサイトを見てみると、イタロさんはかなりな頑固おやじのよう。

携帯は入口で箱に没収。
ぶっきらぼうな店(だが人はいい)。
注文するのではなく、出てきたものを食べる。
プリーモが気に入らなければ2km先のレストランを予約してあるから、会計はイタロさん持ちでそこで食事するように言われるらしい(実際にはそんな人は現れていないようで、どうやら都市伝説か?)。
怒りっぽい人は行かないほうがいい。
まず男性に料理を出し、次に女性に出す。店には、「この店ではまず男性にサービスし、残ったら女性に出す」という古いモットーが壁に貼られている。

でも、みんな料理は高く評価しています。
イタリアで食べたパスタの中で一番おいしかった、というアメリカ人が撮った店の写真はこちら

かなり職人気質そうなイタロさん、いったいどんな人なのかなあ。

イタロさんが店を紹介している動画がありました。
こちらです。

あれ、意外と普通じゃないですか。
玉ねぎのフリッタータや、ツナといんげん豆と赤玉ねぎのインサラータに、トラディツィオナーレのバルサコ酢を惜しげもなくたら~~~っとかけてますねえ。
フリッタータにかける時、「これは食べる直前にかけるんですよ、かけてから出してはいけません」、と念を押すところはさすがに職人気質。

店のhpに、ペドローニ家の朝食のリチェッタが紹介されています。

農家風朝食:厚めにスライスしたパンチェッタと白玉ねぎの薄切りをバターで焼き、卵を2個割り入れて目玉焼きにします。皿に盛りつけたら熱いうちにトラディツィオナーレのバルサミコ酢をかけます。

バルサメダ・トースト:食パンをトーストし、バルサメダ(ペドローニ製のバルサミコ酢のゼリー)を塗ります。

バルサメダ・ヨーグルト:放牧牛のミルクのヨーグルトにバルサメダを加えます。

ペドローニのバルサメダ
 ↓



食事をした後は、バルサミコ酢やワインやグラッパやバルサメダやらを大量に買い込みたくなると思われるので、丈夫で大きな袋を用意して行くとよさそうですね。


★オステリーア・ディ・ルッビアーラ Osteria di Rubbiara
要予約。22ユーロ~。定休日に関しては様々な情報が入り乱れているので詳細は店で確認を。
hpはこちら



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関連誌;「モデナのバルサミコ酢を巡る旅」は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年3月号(2008年3月現在、クレアパッソで販売中)の記事を解説しています。
記事の日本語訳は「総合解説」に載っています。


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2008年3月24日月曜日

バルサミコ酢造りの達人、アチェタイア・ペドローニ

モデナのバルサミコ酢を巡る旅、その7です。

トラディツィオナーレのバルサミコ酢は、厳格な規定に従って造られていますが、樽の数などに決まりはありません。
だから、造り手の数だけ個性の違うバルサミコ酢が生まれます。
いったいどのバルサミコ酢を選べばいいのか・・・。

バルサミコ酢選びの参考になるのが、“コンソルテリーア”が毎年開催しているバルサミコ酢のコンクールです。
コンソルテリーアとは、トラディツィオナーレのバルサミコ酢のプロモーション活動を行っている団体で、バルサミコ酢博物館も運営しています。


博物館があるのは、モデナの南東のスピランベルトという町。


大きな地図で見る


この町で毎年6月に行われる大きな祭り、サン・ジョヴァンニ見本市で、造り手たちが手塩にかけたバルサミコ酢の出来をガチンコで競うのが、“パリオ”という品評会。

2007年のパリオの上位入賞者はこちら

とは言っても、入賞者の名前を見ても、誰が誰やらさっぱりですよねえ。
知っている名前はないかと探してみたら、ありました!
イタロ・ペドローニさん。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』で紹介されていた人です。
なんでもペドローニさんが作る“チェーザレ”というバルサミコ酢は、この品評会で4回も優秀したという逸品。
2007年の大会で2位になったジュゼッペ・ペドローニさんは、イタロさんの息子さんです。

ペドローニ親子が経営するのは、アチェタイア・ペドローニ。
hpにパリオでの受賞歴が掲載されていますが、すごいです。
かなりの回数、上位に入っています。

“チェーザレ”というバルサミコ酢は、ペドローニのバルサミコ酢の中でも最高級品。
hpには、「年数は重要ではない」とそっけなく書かれていますが、50年ぐらい寝かせているらしいですよ。
ちなみに、チェーザレとはイタロさんのおじいさんのことです。

チェーザレ


ペドローニでは、トラディツィオナーレでないバルサミコ酢や、ワイン、グラッパ、ノチーノも造っています。


イタロさんとジュゼッぺさんは、バルサミコ酢を造るだけでなく、オステリーア・ディ・ルッビアーラという地元料理の店もやっています。
固定メニューの素朴な料理を出す店で、イタロさんはちょっと無愛想な人のようですが、評判は上々で、外国からの客も少なくないよう。
店ではペドローニ家のバルサミコ酢を使った料理を味わうことができます。
バルサミコ酢などの自家製品の購入や、予約すれば、バルサミコ酢造りも見学できます。

オステリーア・ディ・ルッビアーラは、バルサミコ酢やモデナ料理に興味がある人ならぜひ訪れてみたい場所ですよね。
そこで次は、この店と料理について、詳しく紹介します。


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関連誌;「モデナのバルサミコ酢を巡る旅」は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年3月号(2008年3月現在、クレアパッソで販売中)の記事を解説しています。
記事の日本語訳は「総合解説」に載っています。


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2008年3月21日金曜日

バルサミコ酢のボトルのデザイナー、ジュジャーロ

モデナのバルサミコ酢を巡る旅、その6です。

モデナのトラディツィオナーレのバルサミコ酢は、容量100mlの美しいガラスの小瓶に入っています。





この容器をデザインしたのは、ジュジャーロという工業デザインの会社。
ジョルジェット・ジュジャーロというイタリアを代表するデザイナーが率いるエリート集団です。
特に車のデザインが得意で、フィアット・パンダからマスタング、トヨタのハイブリッドカーまで、カッコイイ代表作がたくさんあります。
バック・トゥー・ザ・フューチャーでタイムマシンになる車は、彼のデザインしたデロリアンDMC-12という車がベースなんだそうで。

こちらはhp。
さすがに世界的なデザインスタジオだけあって、ハイセンス!
「MEDIA KIT」→「Fenestrelle」をクリックすると、布袋寅泰のキル・ビルのテーマ曲にのって、真っ赤なマスタングが登場しますよ。

車だけでなく、ニコンの一眼レフカメラやセイコーのスピード・マスター、イタリア国鉄ETR500Alta Velocitàのロゴまで、幅広く手掛けています。

ヴォイエッロのパスタもデザインしています。

これだけのビッグネームにデザインを依頼したんだから、モデナのバルサミコ酢管理組合がどれだけ力を入れていたか、よく分かりますね。

一方、レッジョ・エミリアのバルサミコ酢のボトルは、いったい誰がデザインしたのか、まったく情報がありません。



チューリップ形と呼ばれるのですが、醤油のびんに見えなくもない・・・。
有名デザイナーに依頼するほど費用をかける気はなかった?



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記事の日本語訳は「総合解説」に載っています。


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2008年3月19日水曜日

バルサミコ酢ができるまで

モデナのバルサミコ酢を巡る旅、その5です。

今日は、トラディツィオナーレのバルサミコ酢の製造方法の話。

情報は主に、アチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレ・ディ・モデナ管理組合のhp(こちら)からの引用です。

トラディツィオナーレのバルサミコ酢は、モデナの場合はモデナ県、レッジョ・エミリアの場合はレッジョ・エミリア県で栽培されたぶどうから作られます。
生産過程もすべて県内。

ぶどう品種はランブルスコやトレッビアーノが中心で、他にアンチェッロッタ、ソーヴィニヨン、スガヴェッタ、ベルツェミーノ、オッキオ・ディ・ガッタという品種の使用が認められています。
白ぶどうも黒ぶどうも一緒に使うんですね。

これらのぶどうを破砕して果汁を搾ったら、80度以下で、蓋をせずにじっくり加熱して、50%ほどに煮詰めます。
エンマ荘の話で紹介したファットリーエ・ジャコバッツィではこんな感じで行っています。
こうして糖分を凝縮したぶどうの果汁は「モスト・コット」と呼ばれます。

これをデカンターレしたら樽に移し、屋根裏部屋で何年も寝かせるわけですね。
1年目のモスト・コットは一番大きな樽に入れ、一回り小さな樽へとモストを足しながら寝かせます。
その間に、糖分がアルコール発酵してアルコールが生成され、それに酢酸菌が作用して酢酸発酵が行われ、酢になります。
スターターなどは一切加えません。
ひたすら時間をかけて、酢になるのをじっと待ちます。
そして熟成させます。
だから最低でも12年かかるんですねえ。

製造過程のイラスト

バルサミコ酢は、シェリー酒のように、古い樽の減った分を新しい樽から足していく、という製法ですが、ワインと違うのは、樽のおなかに四角い穴があいているということ。
ここからモストが蒸発していくわけです。
屋根裏部屋で寝かせるのも、風通しがよくて、夏は暑く冬は寒いという環境が、水分の蒸発に最適だから。

樽の穴にはガーゼなどの白い布をかぶせ、さらに重石をのせます。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の記事で紹介されていたエンマ荘の場合、手編みのレースをかぶせていましたね。
この穴があるために、部屋に入る人は、白衣と帽子とシューズカバーで完全防塵です。
こういう具合。
 ↓
http://www.flickr.com/photos/suzannegrider/2316179039/

記事にも登場したエンマ荘のファットリーエ・ジャコバッツィの母娘です。


最低12年寝かせたバルサミコ酢は、厳格な品質検査の後、法律で定められた100ml入りの容器に詰めて出荷されます。

管理組合のhpには、製造過程の詳しい動画もあります。
hpからADSLを選び、VIDEO/PHOTO→VIDEO ISTITUZIONALEをクリック。


こちらはレッジョ・エミリアのアチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレの熟成部屋。
サン・ジャコモという作り手です。
hpはこちら





一方で、トラディツィオナーレでないバルサミコ酢の場合は、熟成期間は数年か、まったくなし。
そのため、ワインビネガーなどを加えて発酵を促したり、カラメルなどの着色剤を加えて濃い色をつけます。



次回はバルサミコ酢のびんの話です。


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記事の日本語訳は「総合解説」に載っています。


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2008年3月18日火曜日

バルサミコ酢の種類~2 ラベルの意味

モデナのバルサミコ酢を巡る旅、その4です。

今日は、トラディツィオナーレでないバルサミコ酢、言いかえればお手頃価格の一般的なバルサミコ酢、アチェート・バルサミコ・ディ・モデナの種類について。

きのう書いたとおり、アチェート・バルサミコ・ディ・モデナには複数の品質管理団体があって、それぞれが独自の製品の分類を行っています。

代表的なのは、CABM(コンソルツィオ・アチェート・バルサミコ・ディ・モデナ)。
最有力のバルサミコ酢の管理組合です。



hpはこちら

ここではこういうラベルを使って、製品を2つのタイプに分類しています。



上のボルドー色のラベルが付いたバルサミコ酢は、熟成期間が3年以内。
下の白いラベルがついたバルサミコ酢は3年以上。

日本でも販売されているアチェート・バルサミコ・デル・ドゥーカ・ディ・アドリアーノ・グロソリ社(hpはこちら)のバルサミコ酢は、この方式で分類されています。

 

左は日本のスーパーでも見かけるデル・ドゥーカのバルサミコ酢。
ボルドー色のラベルが付いてますね。
右は同じくデル・ドゥーカのバルサミコ酢ですが、白いラベルで3年以上熟成させていることが分かります。

ちなみにデル・ドゥーカでは、トラディツィオナーレのバルサミコ酢も作っています。




日本で見かけるもう一つのマークはこれ。



AIB(アッソチアツィオーネ・アッサッジャトーリ・イタリアーニ・バルサミコ)という団体が考えた分類です。
hpはこちら

コック帽とぶどうの葉、というこのマークは、バルサミコ酢の風味の違いを消費者に分かりやすく伝えることを目的としています。

葉が1つの赤いラベルはインサラータに向くタイプ。
葉が2つのシルバーのラベルはもっとシロップ風味が強く、インサラータ、マリネ、バーベキューなどに向きます。
葉が3つの金色のラベルは甘さの中にスパイスの風味や樽の風味が感じられるタイプで、チーズやいちごによく合います。
葉が4つの黒いラベルは濃厚なタイプで、アルタ・クチーナ向き。

これはマッツェッティ社mazzettiのバルサミコ酢。
日本のスーパーにも並んでいます。




まだあります。
これはコンソルツィオ・プロドゥツィオーネ・チェルティフィカータ・アチェート・バルサミコ・ディ・モデナという団体の分類マーク。
hpはこちら



茶色のラベルはオークの樽で熟成させた製品であることを意味しています。
緑色のラベルは有機栽培のぶどうを使った製品。
白と金色のラベルはオークの樽で3年以上熟成させた製品。

たとえばこれはモナーリ・フェデルツォーニ社の製品。
hpはこちら
金色ラベルですね。




バルサミコ酢にも色々あるということが分かったところで、次は「バルサミコ酢の作り方」に進みます。



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関連誌;「モデナのバルサミコ酢を巡る旅」は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年3月号(2008年3月現在、クレアパッソで販売中)の記事を解説しています。


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2008年3月17日月曜日

バルサミコ酢の種類~1

モデナのバルサミコ酢を巡る旅、その3です。
バルサミコ酢の作り方の話をする前に、バルサミコ酢の種類について、ちょっと確認。

ご存じの通り、バルサミコ酢は、大きく2つのタイプに分けることができます。

■まず1つめは、

アチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレ・ディ・モデナAceto Balsamico Tradizionale di Modena
アチェート・バルサミコ・トラディツィオナーレ・ディ・レッジョ・エミリアAceto Balsamico Tradizionale di Reggio Emilia
という2つのDOP製品。

この“トラディツィオナーレ(伝統)”のバルサミコ酢は、ぶどうの果汁のみが原料で、これを何年もかけてカラメル色のとろりとしたバルサミコ酢に変えていきます。
モデナとレッジョ・エミリアの2つの産地がありますが、どちらもかつてはエステ家の領土だったので、同じ文化を持つ地域と言うことができます。

■そして2つめは、

アチェート・バルサミコ・ディ・モデナAceto Balsamico di Modena

これはDOPではありません。
トラディツィオナーレのバルサミコ酢を作るには、長い年月が必要です。
“トラディツィオナーレでない”バルサミコ酢とは、添加物を加えて、短期間で、トラディツィオナーレにある程度似た風味を作りだしたバルサミコ酢のことです。
法律による規制がないため、大量生産品から数年熟成させたものまで、風味や値段も違う様々なタイプの製品があります。


トラディツィオナーレのバルサミコ酢は容器の形とサイズが法律で決まってるので、トラディツィオナーレでないタイプとの区別はすぐにつきます。
製品には、正規のものであることを保証するラベルとDOPのマークも付いています。

 

左がモデナ、右がレッジョ・エミリア。
どちらも12年以上熟成させた“アッフィナートAffinato”と25年以上熟成させた“エクストラヴェッキオExtravecchio”があり、100mlの小瓶入り。
ヴィンテージや年数は表示されません。

アッフィナートは100mlで40~50ユーロ、ストラヴェッキオは70~80ユーロ。
ストラヴェッキオで1瓶1万円以上ですね。
1滴100円と考えると、「黒い金」と言われるのも納得です。


それに比べて、トラディツィオナーレでないバルサミコ酢はもっと実用的な値段をしていますが、問題なのは、値段も品質もピンからキリまであるということ。
統一された管理組合というものがないため、いくつかの団体が独自の品質基準を作って製品に表示しています。
ところがこれは、日本の消費者にはあまり知られていないようです。


次回は、このトラディツィオナーレでないバルサミコ酢の分類について説明します。



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関連誌;「モデナのバルサミコ酢を巡る旅」は、『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2006年3月号(2008年3月現在、クレアパッソで販売中)の記事を解説しています。


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2008年3月14日金曜日

モデナのバルサミコ酢を巡る旅~2

モデナのバルサミコ酢を巡る旅、最初に登場するのはエンマ荘です。

ヴィッラ・エンマ
 ↓
http://digilander.libero.it/fdp_1970/Villa%20Emma/villa_emma.htm

モデナの隣町、ノナントラにあるこの美しい館の屋根裏部屋で、ファットリーエ・ジャコバッツィのバルサミコ酢が眠っています。


エンマ荘はモデナの東にあります。

大きな地図で見る


実はこのエンマ荘は、ノナントラの市民にとって、とても大切な建物なんだそうです。
第二次大戦中、この館には、ユダヤ人の子供たちがかくまわれていました。
ドイツ軍が侵攻してきた時、町の人たちは一致団結して彼らを隠し通し、ついには全員がスイスに逃げ延びることに成功します。
それ以来、この館は町の団結と平和の象徴となりました。
現在、この建物にはヴィッラ・エンマ基金の本部も入っています。

そんな建物の屋根裏部屋で、バルサミコ酢は12年以上も眠っています。
12年と言うと、生まれたばかりの赤ん坊が小学校を卒業してしまうほどの長い期間ですねえ。
しかも、“エクストラヴェッキオ”タイプは25年以上熟成させます。
赤ん坊が成人式も過ぎて、お肌の曲がり角を迎える年頃になるまで、ひたすら屋根裏部屋で眠っています。

平和の象徴の館で25年間眠ったバルサミコ酢、どんな味がするんでしょうか。



ファットリーエ・ジャコバッツィのhpはこちら


次回は「バルサミコ酢ができるまで」。


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関連誌:「ラ・クチーナ・イタリアーナ」今月配本号(2006年3月号)
記事の日本語訳は「総合解説」に載っています。


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2008年3月13日木曜日

モデナのバルサミコ酢を巡る旅~1

『ラ・クチーナ・イタリアーナ』のグルメ紀行、今月はモデナバルサミコ酢を巡る旅です。

モデナはここ。


大きな地図で見る


モデナの有名なものは


Something I really wanted... but have to do without
Originally uploaded by SiFu Renka

バルサミコ酢

トラディツィオナーレのバルサミコ酢はレッジョ・エミリアでも作っているが、知名度はモデナのほうが圧倒的に高い。



Ferrari 360 Modena
Originally uploaded by stephenhanafin

フェラーリ

フェラーリの本社はモデナ県のマラネッロにある。
工場見学はフェラーリを購入した人だけ可能。
でも、テスト走行場もあるので、購入者でなくてもフェンスの外からのフェラーリ詣では可能。
近くにはフェラーリ美術館もある。



Big Luciano
Originally uploaded by Roby Ferrari

パヴァロッティ

1935年モデナに生まれる。
オペラ界のスーパースターだった。
2006年のトリノ五輪で歌ったトゥーランドットが最後のステージ。
2007年9月6日、モデナの自宅で没。



Patrimonio dell'umanità
Originally uploaded by Roby Ferrari

世界遺産のドゥオモ、鐘楼、グランデ広場

ドゥオモ(大聖堂)はヨーロッパの重要なロマネスク建築の一つ。
パヴァロッティの葬儀もここで行われた。



バルサミコ酢を巡る旅、明日に続く・・・




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関連誌:「ラ・クチーナ・イタリアーナ」今月配本号(2006年3月号)
記事の日本語訳は「総合解説」に載っています。


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2008年3月12日水曜日

オラータ(クロダイ)


IMG_0183.JPG
Originally uploaded by molarade


ヴェネチアの市場に並んだオラータ orata。
日本語名はクロダイと訳していますが、細かく言うと、ヨーロッパヘダイと言うようです。

オラータを日本語で解説したサイト
 ↓
http://armacao.exblog.jp/tags/Dicentrarchus+labrax/

こちらは日本のヘダイ
 ↓
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/taika/hedai.html


そしてクロダイ
 ↓
http://www.zukan-bouz.com/suzuki2/taika/kurodai.html

素人には見分けがつかないですねー。


切り身にするともっと見分けがつかない。
これはカルトッチョを皿に盛り付けたところ。


Orate al cartoccio #7
Originally uploaded by sacherfire




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2008年3月11日火曜日

単一品種のエキストラバージン・オリーブオイル

ガンベロ・ロッソ2007年2月号のオリーブオイル特集は、なかなか興味深い内容でした。
イタリアでは今、単一品種のエキストラバージンオリーブオイルが注目されているんですねえ。
でも現実には、単一品種のオイルより、複数の品種をブレンドしたオイルのほうが味も品質も安定していて、現時点ではこちらに軍配が上がる、というのが記事の論調でした。

単一の品種だけが植わっているオリーブ畑はほとんどない、というのは意外でした。
様々なオリーブの中から一種類の品種だけを収穫する、というのは相当大変なことのようです。


こちらは単一品種のオリーブの収穫の風景。
あの手この手で収穫。





こうして収穫したオリーブをエキストラバージンオイルにする過程は、基本的には複数品種のオイルと同じ。
まず洗い、破砕し、ペースト状にし、デカンティングして油を分離させ、水分を取り除いて、不純物を取り除く。





イタリアのオリーブオイルの生産量はスペインに次いで世界2位。
国家をあげてオリーブオイルの大量生産に取り組んでいるスペインには押されぎみのよう。
最近はチリ産の単一品種オリーブオイルも登場してきて、イタリアのオイルの生き残る道は高級化、ブランド化しかない、という流れのようですね。


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関連誌;ガンベロ・ロッソ今月配本号(2007年2月号)
記事の日本語訳は「総合解説」に載っています。


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2008年3月10日月曜日

トルタ・ミモザ

きのうのイタリアからの話にもあったように、3月8日の国際女性デー、イタリアではミモザの花が町を彩ったようですねえ。
ロイター通信によると、イタリアではこの日だけで1500万本のミモザが女性たちに贈られたそうで。
なぜこの日にミモザなのかというと、1946年にイタリアの女性連合UDIが、ミモザの黄色い色が、太陽や命を連想させて女性のシンボルとしてふさわしい、として決めたのだそうです。

料理の世界では、この時期に登場するのがトルタ・ミモザ torta mimosa。
これは1951年にローマのパスティッチェーレが考案したドルチェらしいのですが、詳しいことは不明。

典型的なトルタ・ミモザ
 ↓
http://keypivot.com/torta-mimosa

スポンジ生地にフルーツ入りクリームをはさみ、表面にミモザに見立てたスポンジ生地の小角切りをまぶすというこのトルタ、ちなみに、本物のミモザの花は食べられないんだそうで。

パスティッチェリーアのリチェッタを見つけたので簡単に訳してみます。
原文はこちら

[生地]
・00番の小麦粉・・100g
・片栗粉・・100g
・卵・・4個
・砂糖・・150g
・バター・・100g
・バニラパウダー・・1袋
・ベーキングパウダー・・1袋
・塩少々

[クレーマ]
・ラム酒・・大さじ2
・フルーツのマチェドニア(シロップも)・・200g
・生クリーム・・400cc
・粉糖・・50g

■粉の材料を混ぜる。
■卵黄と砂糖をホイップし、溶かしたバターを加える。
■卵白を堅く泡立てる。
■これらを混ぜて型に入れ、170℃のオーブンで50分焼く。
■冷めたら上部を厚さ1㎝切り取って別にする。
■残りの生地の中身をスプーンでくりぬいて器の形にする。
■中身の生地を1㎝角に切る。
■ラム酒とマチェドニアのシロップを混ぜ、器形のスポンジ生地の内側に塗る。
■生クリームと粉糖をホイップする。
■マチェドニア(水気をふき取る)とホイップクリームの3/4を混ぜてスポンジ生地に詰め、別にしておいた生地をかぶせる。
■表面に残りのホイップクリームを塗り、小角切りにした生地をまぶす。

こちらのトルタはクレーマ・シャンティー詰め。
 ↓
http://www.dolci.it/corsi/pasticceria/lezione5.htm

この時期は「トルタ・ミモザ」のウエディングケーキも登場します。
こちらのパスティッチェリーアのサイト、一番上の段の右端のケーキ“ALZATA OVALE”もトルタ・ミモザ。
ゴージャス!
 ↓
http://www.pasticceriangelo.it/nuziali.htm

今日のおまけ。
爆笑ウエディングケーキ!
 ↓
http://www.girodivite.it/Torte-nuziali.html



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2008年3月9日日曜日

フェスタ・デッラ・ドンナ

今日のブログは、クレアパッソ仲間でイタリ在住のAさんが担当。
3月8日の国際女性デー(イタリアでは「フェスタ・デッラ・ドンナ」と言います)の話題です。
それではよろしく~♪

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今日はFESTA DELLA DONNNA、今年は100年目にあたります。
政治的色彩が濃いので、大きな町では、女性の人権尊重をテーマにした集会が多く開かれます。
そのシンボルは、この時期に満開となるミモザ。
町々には、その小さなブーケをいっぱい持ったにわか花屋が出現します。
このプレゼント、男性から女性へだけでなく、女性同士、お店の女性のお客さんへなど、シンボリックに使われます。
今朝は、このブーケを持った女性を沢山見かけました。






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2008年3月7日金曜日

グリッシーニの料理、スーパ・バルベッタ

今日はピエモンテ料理の話。
「サーレ&ぺぺ」今月配本号のトリノ料理の記事から(P.14)。

当時はトリノオリンピックが間近でした。
それにちなんで、オリンピック競技の会場となった地方の料理を紹介します、というこの記事。
取り上げた料理の一つに、スーパ・バルベッタなるものがあります。
聞きなれない料理ですよね。
こんな料理です。
 ↓
http://www.discoveryalps.it/3057,News(foto).html#navtop

トリノの西のヴァルデーゼと呼ばれる地方の料理で、バルベッタとは、元々は地元の方言で「叔父さん」という意味だったのが、転じて「ヴァルデーゼの」という意味になったとか。

この料理、主な材料は、グリッシーニ、キャベツ、チーズ、バター、そしてブロード。
なんとも素朴な田舎料理です。

この山の料理を、ミシュランで2つ星の店、フリポット(hpはこちら)のシェフが作っています。




材料はキャベツ、バター、粉のスパイス(こしょう、シナモン、メース、クローブ)、おろしたトーマ・フレスコ(またはパルミジャーノ)、熟成させたトーマ、豚と雌鶏のブロード、グリッシーニ。

作り方は、超簡単!
耐熱皿にキャベツ、バター、スパイス、グリッシーニ、2種類のチーズの順で重ねます。
動画では省略されていますが、数段重ねます。
これに熱いブロードをかけてオープンで1時間30分焼きます。
皿に盛りつけたらスパイスと地元の香草風味の焦がしバターをかけて出来上がり。

スープというより、スフォルマートですね。
一説によると、グリッシーニは形がそのまま残っていなくてはならないのだとか。

料理の後にこの地方の名物も紹介していました
1つはモスタルデーラというサラミ。
豚の血、頭、舌、皮、玉ねぎ、にんにくなどが入っています。
そしてもう1つはセイラス・デル・フェンという牛乳のチーズ。
おいしそうですねえ。


おまけ。
イタリアでは猫もグリッシーニが大好き!




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関連誌:「サーレ&ぺぺ」今月配本号(2006年2月号)
リチェッタの日本語訳は「リチェッタ日本語訳/サーレ&ぺぺ」に載っています。


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2008年3月6日木曜日

アジアーゴ

『ア・ターヴォラ』で、ヴェネトのチーズを使った料理を紹介していました(今月配本号p.125)。

『イ・フォルマッジ・デル・ヴェネト・ネル・ピアット/I formaggi del Veneto nel piatto』という本からピックアップした記事です。



ヴェネト調理師組合の会長さんがセレクトした、ヴェネトのシェフたちによる40のリチェッタ集。
ちなみに、ご要望があれば取り寄せますので、ご一報を。


それにしても、ヴェネトのチーズって、何があったかなあ。
ヴェネト、ヴェネト・・・・・。

・・・・・。

うーん、思い出せない。

探してみたら、ヴェネトのチーズって、こんなにありました。
 ↓
http://www.formaggio.it/veneto.htm

知ってるのはアジアーゴぐらいかなあ。
モンテ・ヴェロネーゼもちょっと有名。
あ、一番有名なのは、グラナ・パダーノですね。
このチーズはヴェネトでも生産しているんでした。


そこで今日の動画は、ヴェネトを代表するチーズ、アジアーゴができるまで。
こちらはお手軽編。
どこかのサイトの予告編のようです。




そしてこちらは、アジアーゴ管理組合が作った力作のPV。
熟成タイプとフレッシュタイプ(プレッサート)の違いがよく分かります。
アジアーゴができるまでをじっくり観たい人はどうぞ。
約10分のイタリア語のビデオです。




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関連誌:ア・ターヴォラ今月配本号(2006年2月号)
リチェッタの日本語訳は「リチェッタ日本語訳/ア・ターヴォラ」に載っています。


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2008年3月5日水曜日

イタリアの世界遺産

イタリアの世界遺産をいくつか、上から見てみました。
どこだか分かりますか?


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答えは、上から、ヴェネチア、フィレンツェ、コロッセオ。


次はちょっと難しいですよー。


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答えはここ。



トレビの泉。


ではここは?


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これはかなり難しい。

プーリアのカステル・デル・モンテです。





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2008年3月4日火曜日

ローマの5つ星、ホテル・エデン

「クチーナ・エ・ヴィーニ」今月配本号の最初の記事(P.12)は、ローマの5つ星ホテル、エデンのリストランテ。

ホテル・エデンのリストランテ、ラ・テッラッツァは、ホテルの最上階にあります。

ローマの5つ星ホテル、そして最上階のリストランテ・・・。
行ってみたいですねえ。

こんなホテルです。
 ↓
http://www.jpmoser.com/hotel_eden_roma.html

写真をあれこれクリックすると、レストランの窓辺の席からの眺めも・・・。
素晴らしい!
VIPご用達なのもうなずけます。


ローマの航空写真です。
中央がホテル・エデン。
その左がスペイン広場で、下がトレビの泉。
トレビの泉はズームアップすると、かなり見えますよ!
ずっと左に移動するとサン・ピエトロ寺院があります。
他にも知っている場所を探してみると、なかなか面白い。


大きな地図で見る


ホテルはスペイン階段の上のほうのようですね。
このあたりは高台だから、確かに眺めは良さそう。

これはスペイン広場の上からの眺め。



この辺りは、ローマでも一番観光客に愛されている地区。
不思議な熱気と魅力が漂っていますよね。


ホテル・エデン・ラ・テッラッツァの料理はこちら。
 ↓
http://www.hotel-eden.it/prova/eden111.asp?a=3&s=3&p=1&l=ita

前菜のメニュー、いきなりキャビアですねえ。
ため息~。
シェフは若手のアドリアーノ・カヴァニーニ氏。


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関連誌:「クチーナ・エ・ヴィーニ」今月配本号(2007年2月号)
リチェッタの日本語訳は「総合解説」に載っています。


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2008年3月3日月曜日

マイエッラとディチェコの関係

『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の連載記事「グルメ紀行」、今月配本号で取り上げたのは、マイエッラ国立公園周辺です(P.32)。

マイエッラ....、あまり聞かない名前ですよね。

イタリア中部、アブルッツォ州の山間部にあります。
一番高い山は、標高2793mのアマーロ山。


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冬は雪に覆われてスキーリゾートに変身するこの地方ですが、普段は羊の放牧地。
2007年の8月はこんな光景。




羊以外あまり知られていないようなマイエッラ。
実はここに、食の分野ではイタリアを代表する有名な企業があります。

それはデ・チェッコ(ディ・チェコ)。


デ・チェッコのレトロなCM(同じものが2回流れます)。





こちら↓はデ・チェッコの工場を詳しく紹介している動画(長いです)。
普段食べているパスタがどんな所で作られているのか、よく分かります。

その1:
デ・チェッコは、1886年、マイエッラの山のふもとのファーラ・サン・マルティーノという小さな町で、ドン・ニコラ・デ・チェッコ氏が創業。現在は5代目。
毎日180種類のパスタを500トン生産し、世界85カ国に輸出しています。




その2:
パスタができるまで。
デ・チェッコのパスタには、マイエッラの山の水が使われているんですねー。




おそらく、マイエッラなんて聞いたこともない人がほとんどだと思うのですが、そこの水で作られて、そこから運ばれてきたものが、日本の食卓にも普通にのっていたんですねえ。

小麦価格の高騰で、日本の店頭に並ぶディチェコの値段も大幅に値上がりしている今日この頃。
今後、デ・チェッコはどう対処していくのか、気になるところです。


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関連誌:ラ・クチーナ・イタリアーナ今月配本号(2006年2月号)
記事の翻訳は「総合解説」に載っています。


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マリア・ルイジアの小さな街、パルマのバターとグラナの娘、アノリーニ。本物は牛と去勢鶏のブロードでゆでます。

昨日の最後にサラっと登場したアノリーニですが、このパスタ、(CIR12月号P.5)にもリチェッタが載っていました。クルルジョネスの次の料理です。花の形の可愛い詰め物入りパスタ、なんていうのがこのパスタの印象ですが、イタリア人は、こんな風に思ってるんですね。 「マリア・ルイジアの小...