2009年10月15日木曜日

イタリアにもこんな卵料理があった

前回は、この20年でイタリアの家庭料理が少しずつ変化していった過程をちらっと紹介しました。
家庭料理でもこんなに新しいものを取り入れているくらいですから、レストランの世界では、もっとすごいことになってます。

今回紹介するのは、『クチーナ・エ・ヴィーニ』の記事から、
「てっきりイタリアにはないと思い込んでいたのに実はある」卵料理
です。
日本ではお馴染みの卵料理も、イタリアの理科系シェフの手にかかるとこうなる!


まず1つめは、「温泉卵」。

日本と同じように温泉の湧くイタリア。
確かに、温泉卵があっても不思議じゃない。
でも、想像もしなかったですねー、イタリアンの温泉卵って。

イタリアでも「この温泉に卵を浸すと1分でゆで卵になる」というような話はあります。
でも、日本のように、温泉に浸して半熟状態にした卵、というのは聞いたことなかったなあ。


このイタリア版温泉卵は、バーニョ・ディ・ロマーニャという温泉の町のシェフ、パオロ・テヴェリーニ氏のスペチャリタ。

バーニョ・ディ・ロマーニャを日本語にすると、ローマ風呂ならぬロマーニャ風呂。
ロマーニャ地方の南の端にある素敵な町です。
イタリア式エステを受けて、温泉に入って、美味しいもの食べて・・・。
そんなひと時を過ごせますよー。






テヴェリーニ氏の店のhpはこちら
ホテル、エステ、レストランが一つになったゴージャスな場所です。
彼はイタリアのエステ系レストランでは有名なシェフ。

レストランのメニューを見ると、前菜に、「温泉卵、アスパラガスとチンタ・セネーゼ豚のパンチェッタ添え」(26ユーロ)というのがありますねー。
お値段もゴージャス。
きっとセレブな温泉卵なんでしょうねえ。
大きな写真がないのが残念ですが、これも彼の温泉卵の1バージョン。
黒トリュフがけです。

彼の温泉卵のリチェッタは、63度の温泉で1時間ゆでるというもの。



次は、「鶏のきんかん」。
果物の金柑のような、殻ができる前の卵ですよね。
鶏のきんかんの煮物

何の根拠もなく、イタリアには鶏のきんかんはないと思い込んでいました。
でも、あったんですねー。
イタリア語では、“ウオヴァ・エンブリオナーリ uova embrionali” と言うらしいです。

鶏のきんかんを使った料理を披露したのは、モデナの有名店、オステリーア・フランチェスカーナのマッシモ・ボットゥーラ氏。

なんと、去勢鶏のブロードでゆでたきんかんの中身を注入器で吸い取って、代わりに生ハムの骨から取ったブロードを注入するという、科学の実験のような方法で、見た目はきんかん、ところが中は豚骨スープ、という驚きの一品を披露しています。

スプーンの上にのせたその姿は、どう見てもきんかんそのもの(写真は「総合解説」に載せました)。
この写真は、ボットゥーラ氏が鶏のきんかんを見せているところ。
これは、そのきんかんを、パルミジャーノの代わりにミモザ状に散らしたインサラータ。
ソースはなんと、イワシのコラトゥーラとバルサミコ酢というフュージョン料理です。


食通たちを引き寄せるオステリーア・フランチェスカーナ(hpはこちら)の料理






卵料理の話、次回に続きます。


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関連誌;『クチーナ・エ・ヴィーニ』2008年3月号
ここに紹介した温泉卵ときんかんのブロード詰めのリチェッタは、「総合解説」'07&'08年3月号、P.11に載っています。


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3 件のコメント:

Renieri さんのコメント...

あなたのハムとイタリア料理を、遅かれ早かれ、ゴージャスなトスカーナの伝統的なハムの味を検討するような場合! ;)

Vittorio さんのコメント...

温泉卵はウチでも定番メニューです、
盛り付けを変えたり、季節の食材にしたり色々です、でも行き着く所は私もカクテル仕立てになってしまいます、見た目も良いし、お客様も食べやすいからですね。o(^▽^)o

コンソメゼリーと合わせる方も多いようですね、

今年の夏は、温泉卵をアヴォカド·ウニ·ボタン海老·フルーツトマトのヴィネグレットでカクテルにして、最後にカリフラワーのヴィシソワーズとEXヴァージンをかけて仕上げました、来年はまた違うバージョンになると思います(笑)、

ほぉー、キンカンをそのようにするのですか、今度やってみたいです、実はキンカンはまだ使ったことがなかったです、
あと魚介類と野菜をコンカッセしてポテトベースのピュレと温泉卵をクレープで包んだものも、やりました、温泉卵は短時間でに引き上げましたので、クレープを切ったら卵黄がトロッと出てきてソース変わりになります(笑)

えぇー、イタリアが優勝したとき、イタリアにいたんですかぁー、凄いです、国中大騒ぎだったんでしょうね(笑)

私も短期間、パリのレストランで見習いになってない、見習いをしていました(笑)、

フランスの試合になるとシェフが厨房からいなくなりました(笑)

prezzemolo さんのコメント...

Vittorioさん
温泉で卵をゆでて食べるのって、世界中どこでもやると思うんですが、食べると寿命が延びる、なんていう発想は、さすがに日本だけでしょうねえ。
とろっとした温泉卵って、美味しいですよね。
クレープで包んだ温泉卵もいいなあ。
あ、そうそう、ほったらかし温泉の温玉あげも絶品なんですよ。
温泉卵にパン粉の衣をつけてカリッと揚げたもので、適度な塩気が湯上りには最高!

ヨーロッパでサッカーの国際試合を体験すると、どうしてあんなに興奮するんでしょうねー。

よもぎはドイツ語ではベアムート。かっこよくてお餅につける名前じゃないよね。トリノでパティシエが白ワインとよもぎから作りだしたのがベルモット。

今日のお題は、メイド・イン・イタリーの食材です。(CIR2022年1月号P.37の記事) その食材は、ベルモット。ピエモンテ州トリノで誕生したフレーバード・ワインです。 白ワインにスパイスとハーブを加えて香りをつけたもの。 ところで、ベルモットはドイツ語の“ヨモギWermut”が...