2009年12月8日火曜日

復活祭のコロンバ

季節外れの復活祭の話、その3。
クレアパッソで現在配本中の『サーレ・エ・ペペ』の記事の解説です。


イタリア料理の世界では、復活祭の主役は「卵」と「子羊」。

そして準主役級も色々あります。
まずは、「鳩」。

と言っても、鳩の場合は食べるわけではないですねー。
鳩の形をしたケーキで「平和」を謳っています。



パスクアのコロンバ, photo by distopiandreamgirl



鳩がなぜ平和の象徴かというと、「ノアの箱舟」の物語に由来しているのだそうですね。

洪水が続いた後、ノアは鳩を放ちます。
その鳩がオリーブの小枝をくわえて戻ってきたのを見て、ノアは水が引いたことを知りました。

洪水が引いた、つまり地上に平和が戻った、ということで、それを伝えた鳩が平和のシンボルとされるようになった訳ですね。


イタリアでは、復活祭の時期に「コロンバ」という発酵生地のドルチェが出回ります。
鳩のモチーフが、宗教色の強い復活祭の料理に使われるのは、別に不自然なことではないですよね。
ドルチェのコロンバにしても、その起源は、6世紀のアルボイーノ王にまつわる話だとか、12世紀の皇帝バルバロッサが関係する、などの説が知られています。

でも、『サーレ・エ・ペペ』の記事の一文を見て、ちょっと見方が変わりました。

「イタリアでは、菓子業界のアイデアもあって鳩は復活祭のイメージキャラクターとして定着した」

そういえば、イタリア以外で、復活祭に鳩のお菓子を食べる国って、あったっけ?

・・・なんとコロンバは、イタリアの菓子業界が造った習慣だったんですねえ。

そもそものきっかけは、モッタ社。
パネットーネで有名ですよね。
このモッタが、20世紀初めに、第二のパネットーネをもくろんで復活祭用に開発した商品が、コロンバだったんですねー。


『サーレ・エ・ペペ』は、こうも言っています。
「鳩のモチーフはドルチェとして定着したが、ケーキ以外にも応用できる」

・・・ごもっとも。
ただし、イタリアの法律では「コロンバ」として販売していいのは焼き菓子のコロンバだけで、製法も法律で定められています。

『サーレ・エ・ペペ』が提案したのは、パン生地を小さな鳩の形に抜いて焼いた「コロンビーネ」。
これにパルミジャーノ、オイル漬けドライトマト、松の実をミキサーにかけたソースをつけて食べます。
なかなか美味しそうだし、小鳩というモチーフも可愛いですよ。



『ラ・クチーナ・イタリアーナ』のリチェッタの自家製コロンバ。
小麦粉は0番の軟質小麦粉(マニトバ)を使っています。







こちらはニーダーを使わない文字通り手作りのコロンバ。
こちらも粉はマニトバ。







復活祭の料理の準主役級は、この他に、「発酵生地」や「リコッタ」などがあります。
発酵生地は、膨らませるところが豊穣のイメージにつながるから。
リコッタは、たくさんの羊の群れ、つまり繁栄を願う食材。
さらにチーズ全般として、滋養を象徴し、生命の復活をイメージさせる食材。



こんなところをふまえて、次回は復活祭の地方料理あれこれ編です。

・・・と、ここまで書いて気がつきました。
今日は子羊の話、その2のはずだったー!
すっかり忘れてたー!
すいません。
子羊の話は、多分次回に出てきます(汗)



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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

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