2010年8月2日月曜日

ノルマ風パスタの名付け親

今日はノルマ風パスタの話。
『サーレ・エ・ペペ』の記事の解説です。

ノルマ風パスタ、Pasta alla Normaと言えば、シチリアはカターニアの名物パスタ。
香ばしく揚げたなす、トマトソース、パスタという、夏の地中海の畑の恵みをぎゅっと凝縮したような一品ですねえ。






なすの種類にもよるのでしょうが、イタリアではなすのあく抜きは塩を振ってしっかりやります。
とにかく、食べた時に苦みが残っていてはNG。
揚げる前に洗って水気をふき取ります。
トマトソースに入れるものは細く切り、飾り用はそのまま使います。

トマトは旬の時期ならソース用のフレッシュトマトを湯むきして使います。
煮崩れたら塩とちぎったバジリコを加えてさらに煮ます。

そして仕上げに散らすのはリコッタ・サラータ。


味はもちろんですが、このパスタをここまで有名にしたのは、何と言ってもその名前。

「ノルマ風」。

ベッリーニのオペラ「ノルマ」にちなんだ名前だということは、ご存知の通り。
そして、ベッリーニがカターニア出身の大作曲家だということも有名。
同郷の大作曲家が誇らしくて仕方がないカターニア人は、素晴らしくて完璧なことを評して「これはノルマだ!」と言う習慣があった訳ですね。
そして揚げたなすとトマトソースのパスタを食べた誰かが、「これはノルマだ!」と言ったのがきっかけで、この料理はノルマ風パスタと呼ばれるようになったのでした。


でも、唯一あまり知られていないのが、このパスタを最初に「ノルマだ!」と呼んだ人のこと。
たいていの都市伝説はそこらへんは曖昧なままですが、実はノルマ風パスタに関しては、誰が最初にこう呼んだか、ちゃんと知られているんですねえ。
ただあくまでも通説であって、決して本当と証明されている訳ではありません。

シチリア料理研究の大御所、ピーノ・コッレンティ氏によると、その人物はカターニア出身の有名映画監督で喜劇作家のニーノ・マルトーリオ(1870-1921)。

イタリア映画史に名を残すほど有名な人だったようですねえ。
つまり、この人もまた、カターニア人が大いに自慢に思っている人です。

そんな彼が、友人の家でこのパスタをふるまわれて、
「シニョーラ、これはまさにノルマですよ!!」と言ったのが、ノルマ風パスタの由来なんだとか。



ニーノ・マルトーリオ監督作『闇に迷った人々』(1914)の復刻アニメ版






『闇に迷った人々』の解説




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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2007年7月号
「パスタ・アッラ・ノルマ」の解説は、「総合解説」'07&'08年7月号に載っています。

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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

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