2013年4月4日木曜日

サルーミの脂身

脂肪の栄養素って、なんて小難しいんでょうねえ。
ともかく今日は、前回の続きで、ちょっと残った多価不飽和脂肪酸。

この脂肪酸には、オメガ3系とか、オメガ6系とかがあるらしい。
オメガ3系は、中性脂肪を減らし、動脈硬化予防の働きがある。
代表的なのは、魚の油のDHA(ドコサヘキサエン酸)、α-リノレン酸などの必須脂肪酸。
この栄養素の必要性は、広まってますねえ。

オメガ6系は、植物油に多く含まれる必須脂肪酸のリノール酸が代表的。
イタリアでは、脳や心臓の組織を作り、動脈硬化を防ぐものとして注目されている栄養素です。

他には、体脂肪として蓄積しにくい中鎖脂肪酸とか色々あるけど、結局、脂も肉も摂りすぎると害があるけど、不足しても害がある。
毎日山のように食べるのでないなら、ちょっとぐらい豚の脂身を食べても怖くない、むしろ食べないよりは食べたほうがいいってことですね。

こちらのwebページによると、豚の脂身100gは640kcal、タンパク質6%、脂肪67%、ビタミンA、ビタミンB、Eグループ、ナイアシン、セレンだそうです。

ここまで知識を獲得した上で、あらため『ヴィエ・デル・グスト』の記事を読んでみると、

生ハムやサラミの脂身は、45%が不飽和脂肪酸で、主にオレイン酸。
オレイン酸はオリーブオイルに豊富に含まれることで知られる脂肪酸。
残りの脂身の15%は主にリノレン酸。
残りは中~長鎖脂肪酸。

と言うわけで、もうラルドは怖くない。

それに、不思議なことに油だけなめても美味しくないけれど、ラルドのように熟成させた塩漬け脂身は、生でもおいしいし、焼くと素晴らしい香りが生まれます。

『ヴィエ・デル・グスト』誌では、
「味と栄養の両方から一番安全で確かなイタリアの豚肉の加工品は、DOP製品だ」
と結論付けています。

代表的なのはパルマの生ハムですが、他にも、ジベッロのクラテッロ、カルペーニャの生ハム、アルナのラルド、カラブリアのパンチェッタなど、様々な製品があります。
これらは、豚の産地、飼育、加工が決められている地域内で決められた方法で行われている製品です。
DOP以外にはIGPというのもありますが、これは、豚の産地は条件に含まれていません。
今の時代、豚の産地まで決められているというのは、かなり大変ですよ、きっと。

それに、人間でも、食べたものが栄養として使われずに余ったら皮下脂肪になると考えると、豚の皮下脂肪も、食べたものが直接脂身の味や組織に影響するはず。
となると、どんな餌を食べているかが重要ですよね。
豚がオメガ6系多価不飽和脂肪酸が豊富な餌を食べているというのは、解る人には解る情報なんでしょうねえ。

つまり、DOPの生ハムやサラミは、職人と農家の技と知恵と伝統を昇華させて、さらにイタリアが国を挙げて保護している製品だから、かなり安心というわけですよ。

アルナのラルド
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パンチェッタ
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面白いリチェッタを見つけました。
焼いた豚のヒレ肉をラルドで巻いてフィロ生地で包み、オーブンで焼いた一品。
豚肉のいいとこどりで、しかもパイ包みという、ご馳走仕立て。

豚ヒレ肉のラルド包み
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ちなみに、“ラルド”は、豚の脂身を熟成させたもののこと。
生の豚の背脂はグラッソと呼びます。


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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2011年8月号、“イタリア産サルーミ”の記事は、「総合解説」2011年8月号に載っています。

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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

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