イタリア料理ほんやく三昧: ズッパ・ドルチェ

2014年1月23日木曜日

ズッパ・ドルチェ

今日はドルチェの話。
ズッパ・ドルチェzuppa dolceで、ドルチ・アル・クッキアイオdolci al cucchiaioという分類に入る、ドルチェです。
直訳すれば、甘いズッパでスプーンで食べるドルチェ。

甘いズッパといえば、最もよく知られているのは、ズッパ・イングレーゼ。

下の写真は一人前サイズのズッパ・イングレーゼ。
すごくお洒落。
ちゃんとスプーンを添えて写真を撮るところに、センスを感じるなあ。

zuppa inglese


普通は洗面器サイズ。
これは何人前でしょう。

zuppa inglese


でも、そもそも、ズッパって何?
その響きからして、スープっていう意味だとは想像がつきます。
つまり、汁物ですよね。

例によって、ガストロノミー大百科事典で調べてみました。

すると、ズッパzuppaとは、ゴート語の“suppa”が語源で、その意味は、汁に浸したパン、だって。

中世の領主様は、皿にブロードを注いでパンを1枚敷き、その上に切り分けた肉などのご馳走をのせて、食べたんだそうです。
スープに入れる炭水化物は、パスタや米の場合もありますが、肉をのせるためなら、やっぱりパンですね。
そのせいか、パスタや米を入れたスープはミネストラで、ズッパじゃないですね。

なーるほど、こうすればパンが美味しい出汁を吸い込んで、お鍋の締めみたいになって一段と美味しくなるのか~。
というのは平民の考え。

なんと、ご領主様は、肉は食べるけど、このパンは残しておくんです。
それを使用人が煮て、夕食としてありがたくいただく、というわけ。
美しき残酷な世界ですねえ。
究極のもったいないだなあ。
でも、よく考えてみると、食べ物の歴史はもったいないの歴史なんです。

その昔、人間は、火を使うことを覚え、道具を作り、食料をゆでて食べることを発見しました。
そのゆで汁を再利用するという発想は、料理の世界の革命だったんだそうです。
最初は粉を煮てお粥にし、やがて穀物や豆を煮るようになりました。

麺を煮る鍋の締めは、多分、豆の次の段階。
さて、次はどう進化するのか。

で、ズッパ・ドルチェですが、言われてみれば、ドルチェのズッパにも、パンが入ってますねー。
パンと言うか、スポンジ生地やサヴォイアルディですけどね。

で、よく知られている通り、イタリアの甘いズッパのルーツはイギリスのトライフル(下の写真)。

おー、イギリスでも洗面器サイズですねー。

Trifle - YUM!


こうやってスポンジ生地を敷き詰めるようすから、ズッパと名付けたんでしょうねえ。


English Trifle, Step 4

イングリッシュ・トライフル、別名、ズッパ・イングレーズだって。





トライフルには無数のバリエーションがありますが、イタリアに伝わったのは、シラバブというクリームをかけたものだそうです。
なので、アマレット・シラバブをどうぞ。
砕いたアマレッティ(マカロン)にアマレットリキュール入りのダブルクリームをかけた超美味しそうなデザートです。
イギリス人の有名料理研究家、ナイジェラさんが作ると、やけにセクシーですね。




こんなデザートが、ルネサンスのイタリアに伝わったんです。
それからの話は次回に。


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関連雑誌;『サーレ・エ・ぺぺ』2012年1月号、“ズッパ・ドルチェ”の記事とリチェッタは、「総合解説」2012年1月号に載っています。

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