2014年12月11日木曜日

ヴァルテッリーナ

今日はイタリア便りです。
それでは、ロンバルディアのSegnalibroさん、お願いします。


以前通りかかった時に気になっていた、ロンバルディア州の北に位置するヴァルテッリーナ地方。
山や氷河の景観を楽しむ列車として知られるベルニナ急行に乗るため、ミラノからティラーノに向かうときにはここを通ります。
山の南斜面に沿って20km以上も葡萄畑が続き、谷間には牛がのんびりと草をはむ光景が広がっていて、一度足を止めてゆっくりしてみたいと思っていたんです。





近所のスーパーで買っているお気に入りのヨーグルトがヴァルテッリーナ地方のキウロ産だと知った時、これはやっぱり行かねばならぬと思い、片道100kmの道のりをランチしに行ってきました。
半年前に行ったペーイオ温泉で山のお食事は重いと学習したので、朝は一杯のコーヒーのみで出発したのですが、この作戦が裏目にでることに・・・。
お目当てのレストランまであとわずか5kmのところで、運転手こと相方がエネルギー切れを起こし、国道沿いの適当なレストランに入ってしまったのです・・・あぁ、はるばる2時間もかけてやってきたのに。

ヴァルテッリーナ地方では、蕎麦粉を使った郷土料理が有名です。
イタリア語で蕎麦粉は grano saraceno、サラセンの小麦って言うんです。
そういえば、おフランスには蕎麦粉を使ったおいしいガレットがありますが、フランス語でも蕎麦粉はblè sarrasin サラセンの小麦と言うそうで・・・サラセンってイスラム教徒のことですよね?
いろいろな説がありますが、蕎麦がイタリアで栽培されるようになったのは15世紀のこと。
トルコからヴェネチアへの貿易によってもたらされ、ベルガモやブレーシャで栽培されたのが始まりだそうです。
トルコ、つまりイスラム教徒からもたらされたから、サラセンの小麦と言うのかしら。
現在では生産量は多くないものの、ピエモンテやアルトアディジェ、ウンブリア、そして、ロンバルディアのヴァルテッリーナ地方で蕎麦が栽培されています。
地元でおいしいと評判のレストランで蕎麦粉のパスタ、ピッツオケリが食べたかったのに、がっかり。
落胆のあまり、お料理の写真は1枚も撮らなかったのですが、一応、ヴァルテッリーナの郷土料理を注文。
気を取り直してカメリエラ兼オーナーらしきお姉さんに、周辺の見所やお料理のレシピ等いろいろ質問してみました。
だって、お客さんは私たちだけだったのですもの。
ここで気に入ったのが、前菜で出てきたsciattシャット。 そば粉と小麦粉を衣にして揚げた、お山のチーズの天ぷらです。お借りした写真がこちら。



お姉さんいわく、粉の配合は1:1で、冷たい炭酸水と少々のグラッパを加えるのがポイントなのだとか。
シャットというのは、ここの方言でヒキガエルという意味だそうですが、確かにビヨーンと衣が伸びると足みたいに見え、カエルの唐揚げに似てるかもー。
シャットには、サラダを添えて出すのがオーソドックスなのだそうです。
なんだかんだ言いながらデザートまでしっかり平らげた後、お姉さんが持ってきた1枚の紙切れはお会計・・・ではなくて、ギッシリ手書きで埋まったメモ用紙、ヴァルテッリーナ料理のレシピでした。



プライスレスなプレゼントに思わずウルウル。
メモを手渡しながら、ちょっと照れていたお姉さんが可愛かった。
彼女のおかげで、相方と喧嘩したまま帰らずにすみました。
感謝! お食事の後は、お目当てのヨーグルトのお店をお姉さんに教えてもらい、プチ大人買い。



これこれ、Latteria Sociale di Chiuroのヨーグルト。
1957年に小規模の酪農家が集まって生まれた、ヴァルテッリーナ地方の乳製品組合が作っているものです。
牛乳やチーズも販売しているのですが、どれもこれもパッケージのデザインがかわいい。
ここのヨーグルトはおいしさのあまり、蓋の裏まで舐めてしまうんですが、舐めてびっくり、蓋の裏にまでデザインが入っているこだわりよう。
そんなこだわりは、もちろん味にも表れていて、どれもこれもおいしく、牛乳、バター、お山のチーズも購入。
さらには直売所でワインやりんごなど地元でとれたものを購入し、大満足で家路につきました。
お山の住人は頑固で閉鎖的だと聞いていましたが、ここの人たちはみんな親切で温かかったです。
さて数日後、家の近くでヴァルテッリーナ郷土料理を食べられるところはないかと探していたところ、ミラノのオサレ~な界隈、コルソコモの近くに、Sciatt à Porter というお店があるのを知りました。
http://www.sciattapoeter.it/
田舎のヴァルテッリーナ料理がオシャレに味わえそうなお店です。
お店の名前の通り、ヒキガエルこと、シャットもあります。
これ、アペリティーボのおつまみにしたら、パクパクいけちゃいますよ。
ちなみに、ここのシャットは、ガンベロロッソの2015 Street FOODというガイドブックで、ロンバルディア州のストリートフードNO.1に選ばれたのだとか。
ほほー、王冠マークがついてます。



他の州のNO.1ストリートフードも気になるところです。 ガンベロロッソ2015 Street FOODは、ただいまクレアパッソにて、好評発売中でーす♪
(詳しくはこちらのページ)



おまけの動画です。
ヴァルテッリーナ風シャットの作り方。



Sciatt à PorterのPV

そば粉の衣にチーズを詰めて揚げると、そばもイタリアンに変身ですね。

Slow Food の“ricette di osterie d'italia”シリーズの『クチーナ・レジョナーレ』から、オステリア・デル・ソーレOsteria  del Sole (Ponte in Valtellina)のリチェッタをどうぞ。

シャットSciartt
材料/4人分
 小麦粉・・200g
 そば粉・・200g
 グラッパ・・大さじ2
 チコーリア・セルヴァティカ
 カゼーラ・ジョーヴァネ(冬の間造られるビットの一種のDOPチーズ)・・2握り
 揚げ油 
 EVオリーブオイル
 水・・大さじ1
 ビネガー・・大さじ1 
 塩
・小麦粉とそば粉を混ぜ、塩、グラッパ、冷水を加えて柔らかいポレンタ状の生地にする。最低3時間休ませる。
・チーズを角切りにして生地に入れる。スプーンですくって180度に熱した揚げ油に落として揚げる。
・約4分揚げてこんがり色が付いたら取り出し、チコリーノ(塩、ビネガー、オリーブオイルで調味する)を添えてすぐにサーブする。



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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

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