2008年6月16日月曜日

ポレンタ・エ・オゼイと逃げた小鳥

『サーレ&ペペ』にちらっと、“ポレタン・エ・オゼイ”という名前が出てきました。
これ、なかなか面白い料理ですよね。

「ポレンタ・エ・オゼイ」と聞いて、どの料理を思い浮かべるでしょうか。
多分、一番多いのが、これ。
 ↓
polenta e osei
ポレンタ・エ・オゼイ, photo by mulaohu


ベルガモ(ロンバルディア)の名物ドルチェです。
スポンジ生地にクリームを詰めて表面を黄色いマジパンで覆い、その上に何やら不思議な形をしたマジパン細工がのっています。

中はこんな感じ

ポレンタという名前でも、ポレンタじゃない。
ポレンタもどきですね。
“オゼイ”は、ヴェネトやロンバルディアの言葉で「小鳥」のこと。
上に乗っているのは、一応、小鳥のローストもどき。


元々のポレンタ・エ・オゼイは、ヴェネトやロンバルディアの野鳥料理で、こんな一品。
 ↓
www.brembana.info

ツグミヒバリニワムシクイヨーロッパコマドリムネアカヒワといった野生の小鳥をローストして、ポレンタにのせた料理です。


Tordi
ツグミのロースト, photo by Rachel Black


この小鳥の名前を見ただけで、あーこりゃあ今はもう、滅多にお目にかかれない料理だな、と、薄々想像つきますね。

この小鳥をパンチェッタやセージと一緒に串に刺して、鍋やオープンでローストしてポレンタにのせたのが本家のポレンタ・エ・オゼイ。
ポレンタは中央をくぼませて、そこに焼き汁をたっぷり入れてポレンタにしみ込ませます。


こちらでは、豪快に小鳥をローストしてポレンタ・エ・オゼイを作っています。
 ↓
www.amicidipego.it

そう言えば日本でも、スズメの焼き鳥とか、ありましたねえ。
頭からコリコリ食べたっけ。
イタリアにも、スズメのポレンタ・エ・オゼイ、あります。


貴重な野鳥の代わりに、子牛や豚肉、サルシッチャなど他の素材を使うと、この料理、“ポレンタ・エ・オゼイ・スカッパーティ”、つまり、「ポレンタと逃げた小鳥」という楽しい名前になります。

こんな一品
 ↓
www.ricettemania.com

イタリアの地方料理を集めたサイトの簡単なリチェッタを訳してみます。
写真と原文はこちら
 ↓
www.ricetteregionalionline.com


ウッチェッリ・スカッパーティ Uccelli scappati
材料
豚ロース・・300g
豚レバー・・150g
サルシッチャ・・150g
パンチェッタ・・150g
セージ・・たっぷり
バター・・70g
白ワイン


・豚肉、レバー、サルシッチャ、パンチェッタを適当な大きさに切り、セージと交互に串に刺す。
・これをバター40gで焼き、ワインをかけてアルコール分を飛ばす。
・湯少々と塩を加え、蓋をして45分ローストする。
・焼き汁に残りのバターを加えてつなぐ。


これを焼き汁ごとポレンタにのせれば出来上がり。
気分だけ猟師、というか、正確には、獲物がゼロの日の猟師の気分が味わえそうな一品。
赤ワインが進みそうですねえ。


次はドルチェのポレンタ・エ・オゼイのリチェッタです。


-------------------------------------------------------

[creapasso.comへ戻る]

==============================================

0 件のコメント:

キャビアはしばらく見ないうちにずいぶん種類が増えてました。

(CIR12月号)の話、今日はクリスマスにふさわしいゴージャスな食材、キャビアとトリュフの話です。 カスピ海のチョウザメの  卵を初めて塩漬けにしたのは、2千年前のペルシャ人だと言われています。それをロシアの皇帝が輸入して宮廷に取り入れたところ、キャビアは黒い金と呼ばれる高級品と...