2010年12月3日金曜日

漁師料理、アックア・パッツァ

今日は新しいお題、「漁師料理」です。
『サーレ・エ・ペペ』の記事の解説です。


漁師料理・・・。
どんなものが思い浮かびますかねえ。

まずは有名どころから、アックア・パッツァ(アクア・パッツァ)なんてどうでしょう。

ホウボウのアックア・パッツァ


この料理、一番インパクトがあるのは、料理よりもむしろその名前じゃないでしょうか。
アックア・パッツァ。
パッツァとは、「気が狂った」とか、「ばかげた」といった意味ですよね。
英語ではクレイジー・ウオーターなんて呼びます。
狂った水?
いったいどんな水なんでしょうか。

アックア・パッツァの基本の材料は、魚、トマト、にんにく、オリーブオイル、塩、こしょう、それに水。
特に恐ろしそうなものはないですよねえ。
どうすれば、これが狂った水になるのか・・・。

それを知るには、この料理のルーツを探ってみる必要があります。
ルーツとは言っても、この料理も多くのイタリア料理の例にもれず、誰がいつこう呼びだしたのか、確かなことは分かっていません。
おそらく永遠に分からないでしょう。
結論はないけれど、説は色々あります。
そのどれもがもっともらしくて、しかもなかなか面白くて、どれか一つしか知らなければ、すんなり信じてしまうかもしれません。
という訳で、ルーツを探るというのは、つまり、色々な説を探し出す、ということに他なりません。


まず、この料理はカンパーニアの漁師料理として知られています。
ただし、ラツィオ、カラブリア、サルデーニャなど各地にアックア・パッツァと呼ばれる料理、もしくは同じ作り方をする料理があります。


こちらのサイトで紹介されているのは、アマルフィ海岸の漁師の老人から聞いた、という話。
おそらく、最も一般的な説です。

それによると・・・。

昔は、漁に出たまま数日船の上で過ごすような時、食糧は必要最小限のものだけを持って行きました。
例えば、オリーブオイル、トマト、パーネ・ガゼレッチョ、そして鍋2つ。
あとは捕りたての魚です。
飲み水は貴重品だったので、魚を煮るのに使ったのは海水でした。
その海水のことを、漁師たちは“アックア・パッツァ”と呼んでいたのです・・・。


海水がなぜ「狂った水」なのか、この説明では今ひとつ分かりませんが、『サーレ・エ・ペペ』では、「試しにこの煮汁を飲んでみれば分かる」と、面白い解説を加えています。
ただでさえ塩分の多い海水をさらに煮詰めたわけですから、相当塩辛いものになってますよねえ。
それを飲んだらどうなるか。

・・・。

なるほどねえ。



ヘダイ(オラータ)のアックア・パッツァ、フレゼッレ・スプニャーテ添え







アックア・パッツァの話、次回に続きます。



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関連誌;『サーレ・エ・ペペ』2007年9月号
“ホウボウのアックア・パッツァ”を含む「漁師料理」のリチェッタは、「総合解説」'07&'08年9月号に載っています。

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バッカラはノルウェーとイタリアを結ぶ干物貿易の主役で、この航路は1450年作成の世界地図にも記載されるほど重要でした。

(CIR12月号)によると、ヴィチェンツァでは、この料理はCが1つなんだそうです。普通はバッカラはbaccalàでも、ヴィツェンツァでは、Cがひとつのバカラ。んなばかな、と思ったけど、地元のこの料理の専門家たちは、C一つで呼んでました。会の名前の刺繍もC一つ。リチェッタはP.11...