2011年6月30日木曜日

イタリア料理のマトウダイ

マトウダイの話、その2です。

マトウダイは地中海全域で獲れる魚。
イタリアでは、デリケートな味の上質の白身魚として好まれています。
でも、その外見に対する評価は、美しいものをこよなく愛する国民性からか、かなり辛口。
『ヴィエ・デル・グスト』でも、「グロテスク」、「笑える」、「体の1/3は巨大な頭」、「口角が下がった口は間抜けに見える」と容赦なし。
背びれの派手な棘が鶏のとさかのようにも見えるので、ペッシェ・ガッロpesce gallo(ガッロは雄鶏)と呼ぶ地方もあります。


↓これはむしろ怖い。






イタリアのマトウダイ料理は、基本的にはシタビラメやカレイと同じ調理の仕方。
ムニエルはイタリアでも一般的ですが、これはやはりフランスが元祖。
それでは、イタリア料理だとどういうものがあるのでしょうか。

まずは、スローフード出版の“リチェッテ・ディ・オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズ、『ペッシェ』からいくつかどうぞ。


マトウダイのマルサラ煮 Filetti di pesce gallo al Marsala
(トラーパニ/シチリア)
材料:2人分
マトウダイ・・1尾(約1㎏)
小麦粉
マトウダイの粗で取ったフメット・・2カップ
マルサラ・セッコ・・リキュールグラスで1杯
EVオリーブオイル、塩
・魚を切り身にし、厚みを開く(切り離さない)。
・洗って水けをふき取り、薄く小麦粉をつけて油で両面を焼く。
・マルサラとフメットをかけて塩をし、弱火で水分が半分になるまで煮る。




マトウダイのカルリーナ風 San Pietro alla Carlina
(オリジナルはハリーズバーの創始者ジュゼッペ・チプリアーニの娘、カルラ・チプリアーニが考案した料理/ヴェネチア)
こんな料理
材料:4人分
マトウダイ・・1尾(約2㎏)
ソース用トマト・・4個
塩漬けケッパー・・60g
小麦粉
バター・・120g

・魚を切り身にして骨を取る。
・薄く小麦粉をつけ、バター50gで3~4分焼いて塩をする。
・ケッパーをは塩抜きして刻んでおく。
・トマトは皮をむいて刻む。
・オーブン皿に薄くバターを塗り、焼いた切り身を並べる。ケッパーとトマト、小片にした残りのバターを散らし、240度のオーブンで4~5分焼く。




マトウダイとじゃがいもの煮込み San Pietro in umido con patate
(テーラモ/アブルッツォ)
材料:4人分
マトウダイ・・1尾(1.2㎏)
じゃがいも・・600g
ミニトマト・・10個
にんにく・・1かけ
プレッツェーモロ
EVオリーブオイル、塩
・魚は頭をつけたまま掃除する。
・鍋に油を引いて魚を入れる。その上に薄すぎない輪切りにしたじゃがいもをのせる。
・塩をしてプレッツェーモロのみじん切りを散らし、油を回しかける。
・魚がかぶる程度に水を加え、蓋をして強火で20分煮る。時々鍋をゆすって焦げ付かないようにする。
※プーリアではマトウダイとじゃがいもに白ワインをかけてオーブンで焼く。
材料にはトマトとにんにくがありますが、リチェッタには出てきません。
忘れたのかも。




最後はwebから。

マトウダイの卵のスパゲッティ Spaghetti con uova di Pesce San Pietro(シチリア)
webページはこちら
材料:4人分
スパゲッティ・・350g
マトウダイの卵・・100g
プレッツェーモロのみじん切り・・小さじ1
にんにく・・1かけ
赤唐辛子・・1本
EVオリーブオイル、塩
・パスタをアルデンテにゆでる。
・にんにくのみじん切りと赤唐辛子を油で軽くソッフリットにする。
・ソッフリットに小さく切った魚卵、プレッツェーモロのみじん切り、塩少々を加えて数分炒め、ゆで上がったパスタを加えて強火でなじませる。必要ならゆで汁を加える。
※小エビと殻を取ったアサリを加えてもよい。




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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2009年1月号
“マトウダイ”の記事は、「総合解説」'08&'09年1月号に載っています。

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