2011年7月11日月曜日

ズッカ・イン・ガッレリーア

今日はミラノのカフェの話。
『ヴィエ・デル・グスト』の解説です。

ミラノのシンボル的有名カフェ、ズッカ。
ガレリアの入り口にある老舗です。


Caffè Zucca in Galleria a Milano



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この店の名物は、ビターのカンパリとズッカ

なぜ名物なのか、知ってますか?

実はどちらも、この店の歴代オーナーが造っていたお酒なんですねえ。


そもそもこのカフェのルーツは、1867年にできたカンパーリという店。
オープンしたのは、ガレリアがオープンした日と一緒です。
創業者は、カンパリの発明者、ガスパレ・カンパーリ。

そして、1915年にその向かいに出来たカンパリーノという店が、現在のズッカ。
当時のミラノ風リバティースタイルの内装は、現在もそのままです。

ズッカに行ったら、ぜひ、リバティースタイルのモザイクと、客のいるフロアより一段高く作られたカウンターを鑑賞してみてください。

こんな雰囲気

この壁はモザイク。
天井の照明も有名職人の手になるもの。

カウンターはこの高さ


1919年に、エットーレ・ズッカがカンパーリとカンパリーノを150万リラで買い取ります。
そして店名は、ズッカ・イン・ガッレリーアに変わりました。

エットーレ・ズッカは、ルバーブ(カボチャじゃない!)のビター“ズッカ”を発明して財をなした人。

1928年、元のカンパーリは所有者がモッタに変わり、現在は系列のアウトグリルというイタリアベースの多国籍企業のチェーン店になっています。

左がズッカ、右がアウトグリル


ズッカ・イン・ガッレリーア(元のカンパリーノ)の方は、1960年代に、実業家のグリエルモ・ミアーニの手に渡ります。
一時は店名もカフェ・ミアーニになりましたが、現在はズッカ・イン・ガッレリーアに戻っています。

そして現在の経営者は、グリエルモの娘テレーザのご主人、オルランド・キアーリ氏、76歳。


↓現在のオーナー、オルランド・キアーリ氏






という訳で、店ではカンパリとズッカを頼む人が多いんですねー。

カンパリは日本でもよく知られていますが、ズッカは、どんなビターなんでしょうか。

なんでも、エットーレ・ズッカのおくさんが消化不良に悩んだ時、お医者さんから渡された処方箋を見て思いついたお酒なんだそうです。

カボチャのビターと勘違いされないためか、イタリア語でルバーブと言う意味の“ラバルバロ”とか、“ラバルバロ・ズッカ”という呼び方が定着しています。

夏はソーダ割りかシェケラート、冬は温めてパンチにするのが人気の飲み方だとか。

店の名物アペリティーヴォ、“グラン・ズッカGran Zucca”は、たっぷりの氷入りのシェケラートで、グラスの縁に砂糖をまぶしたもの。
ズッカのソーダ割りは“ズッカ・エ・セルツZucca e seltz”。


ズッカのカンパリ




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関連誌;『ヴィエ・デル・グスト』2009年1月号
“ズッカ・イン・ガッレリーア”の記事は、「総合解説」'08&'09年1月号に載っています。

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