今日はお弁当の話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の解説です。
“ベントー”がニューヨークあたりで人気、という話は、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
弁当箱を売っている日系の店もあったりして、かなり本格的なお弁当を作るニューヨーカーもいるようですね。
でも、これはあくまでもインターナショナルな大都会、ニョュ―ヨークの話。
食に関しては保守的で、昼食に長い時間をかけるイタリアで、お弁当はどう受け止められているのでしょうか。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』によると、お弁当はイタリアでも静かに広まりつつあるようです。
ただし、中に詰めるのはご飯ではなく、フリッタータや生ハムなどイタリア式。
ランチにお弁当を食べると言う習慣が広まってきた背景には、都会では昼食の時間が短かったり、不景気で節約志向、というだけでなく、最近のバールやレストランの並のランチには満足できない、というグルメな理由もあるようです。
ただ、イタリアの最近流行りのお弁当は、日本のものとはかなりイメージが違います。
弁当箱が飯盒(はんごう)なんです!
しかも、ロンドン、パリ経由でミラノに入ってきたトレンドだとかで、なかなかお洒落な飯盒なんです。
アンティークの飯盒
どうも日本人としては、飯盒はご飯を炊くためのもののような気がしてしまいますが、そもそも飯盒は、ヨーロッパで生まれたものなんだそうです。
それなら、ヨーロッパの人が飯盒にランチを詰めたところで、なんの不思議もありません。
元々ヨーロッパでは、飯盒は兵隊や肉体労働者の食事を詰めたり作ったりする容器として使われていました。
彼らが飯盒の蓋を閉める時、食べ物をぎゅうぎゅう押し込んだところから、ミラノでは飯盒のことを“スキッシェッタ schiscetta”(標準語ではスキアッチャータ schiacciata)と呼んでいました。
それが最近のお洒落なトレンドによって復活し、ミラノ以外でもお弁当のことをスキッシェッタと呼ぶようになりました。
イタリアの“飯盒”はこんなイメージ。
ちなみに、ミラノでは最近の学校給食の質の低下がひどく、保護者による“スキッシェッタ・デイ”という抗議活動が行われました。
学校へは食べ物の持ち込みが禁止されているのですが、給食があまりにまずいので、家からお弁当を持っていかなくてはならないほどなんだそうです。
↓スキッシェッタ用のインサラータ・ディ・リーゾ。
最初に、「ミラノでは“スキッシェッタ”、オリエントでは“ベントー・ボックス”と呼びます」と言っていますね。
材料は、ゆでた黒米とインディカ米、トマト、アスパラガス、フェタ、ペスト・ジェノヴェーゼ、マグロの小角切り。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2008年4月号
“ランチボックス”の記事の解説は、「総合解説」'08&'09年4月号に載っています。
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