今日はカタクチイワシの話。
『ラ・クチーナ・イタリアーナ』の解説です。
カタクチイワシの英名はアンチョビー。
イタリア語では様々な名前で呼ばれますが、代表的なのは、“アッチューガacciuga”(複数形はアッチューゲacciughe)、または“アリーチェalice”(複数形はアリーチalici)。
イタリア人でも魚に詳しくない人は、アッチューゲとアリーチは同じもの、ということを知らなかったりします。
マイワシは、イタリア語では“サルダsarda”(複数形はサルデsarde)、またはサルディーナsardina(複数形はサルディーネsardine)ですが、サルデとアッチューゲの違い、つまりマイワシとカタクチイワシの違いを知らない人は、日本人にだっていますよね。
ヴェネチアのリアルトの魚市場のアリーチ(カタクチイワシ)
パレルモの市場のサルデ(マイワシ)
カタクチイワシとマイワシの見分け方は、イタリアでも、下あごが短いのがカタクチイワシ、というのが一般的。
カタクチイワシは、イタリアを囲む地中海全域で獲れます。
↓カラプリアのターラント湾(イオニア海)の人力のカタクチイワシ漁。
↓こちらも同じくイオニア海、シチリアのカターニア湾。
船と網を使うメナイデmenaideと呼ばれる伝統的なカタクチイワシ漁の一部。
↓現代的なカタクチイワシ漁。
場所は不明。
カタクチイワシは、イタリアでは「漁師のパン」とも呼ばれます。
網にかかった魚の中で一番価値が低く、毎日テーブルに上るパンのような存在、という訳。
1975年のカラプリアの市場の風景。
樽や陶器のかめに入っているのは、自家製の塩漬けアンチョビ。
こちらは現代のフィレンツェ。
サン・ロレンツォ市場のシチリア産塩漬けアンチョビ。
大衆魚の中の大衆魚。
アッチューゲ、またはアリーチの話、次回に続きます。
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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2008年4月号
カタクチイワシを含む“青魚”の記事の解説は、「総合解説」08&09年4月号に載っています。
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