2011年10月20日木曜日

塩漬けアンチョビ

カタクチイワシ(アッチューゲ/アリーチ)の話の続きです。

カタクチイワシ(アンチョビ)は、大量に獲れるので値段が安く、しかも塩漬けにすれば長期間保存できるので、イタリア中に広まりました。
ピエモンテのような海のない北の地方でも、バーニャ・カウダのように、アンチョビの塩漬けを使う伝統料理があったりします。
イタリアでこれほど広まった魚は、他にはタラ(バッカラ)ぐらいです。

という訳で、イタリアのアンチョビの基本は、塩漬けです。
オイル漬けもありますが、伝統料理に使うのは塩漬けです。
塩漬けアンチョビは、オリーブ、ケッパーと共に、イタリア料理、特に地中海のイタリア料理の基本の食材でもありますよね。

タラは北ヨーロッパの冷たい風で干してからイタリアまで運ばれてきますが、アンチョビはイタリア沿岸で獲れて、獲ったらすぐに塩漬けにします。

家庭で塩漬けにする時は、ガラスか、釉薬で覆われている陶器の筒型の容器を用意します。
塩は海塩の粗塩。
アンチョビは頭と内臓を取ります。
40~50日程度漬けると食べられるようになります。


↓アンチョビの塩漬けの動画を2つどうぞ。











アンチョビは獲ったらすぐに産地で塩漬けにするので、いわゆるご当地の味になります。
いくつか有名な産地がありますが、最近はチンクエ・テッレ(リグーリア)のモンテロッソのアンチョビが有名。


↓アッチューゲ・ディ・モンテロッソ



食べる時は、洗って余分な塩を落とし、開いて骨を取って水気をふき取ります。
調味は、オリーブオイル、にんにく、オレガノが最適、と言っています。


では、“リチェッテ・ディ・オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『ペッシェ』から、モンテロッソの塩漬けアンチョビの作り方をどうぞ。

アッチューゲ・ディ・モンテロッソ・イン・サラモイア Acciughe di Monterosso in salamoia
材料:
 新鮮なカタクチイワシ・・1kg
 塩
 サラモイア(塩水の漬け汁)用塩・・水1リットルにつき300g
調味用
 にんにく・・1かけ
 オレガノ・・少々
 EVオリーブオイル

・カタクチイワシは氷に触れないようにする(氷は血を固めるので、後で臭うようになる)。
・頭と内臓を取って手早く洗い、水気をよく切る。
・ガラスの容器に塩を1cm程度敷き、その上に魚を間を開けずに1段並べる。
・1段ごとに押しながら塩と魚を交互に重ねていき、容器一杯に詰める。最後は塩で終わる。
・天然スレートの板で栓をし、その上に重石をのせる。
・漬けてから数日間は魚から茶色い汁が出てくるので時々取り除く。
・汁が出なくなったらサラモイアを作る。水と塩を20分沸騰させて完全に冷ます。
・サラモイアで容器を満たす。残ったサラモイアは瓶に入れて保存し、減ったら足す。
・60~90日後に食べられるようになる。
・洗って開きながら骨を取り、水気をふき取る。
・EVオリーブオイルをかけてにんにくのみじん切りとオレガノを散らし、30分マリネしてからサーブする。
※モンテロッソでは、にんにくは加えずに調味したものをバターを塗ったパンにのせて食べる。




リチェッタで紹介しているマリネ以外にも、塩漬けアンチョビはさまざまな料理で使いますが、塩漬けアンチョビが主役という料理は滅多にないので、リチェッタを紹介しにくい、ということに今、気が付きました。


とりあえず、塩漬けアンチョビのソース、アッチュガータのリチェッタをどうぞ。

同じく“リチェッテ・ディ・オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『ペッシェ』からです。

アッチュガータ Acciugata
材料:4人分
 塩漬けアンチョビ・・4尾
 にんにく・・1かけ
 イタリアンパセリ・・1本
 EVオリーブオイル・・1/2カップ
 塩、こしょう

・アンチョビは洗って骨を摂り、水気をふき取る。
・陶器の鍋にオイルとにんにくを入れて炒める。
・にんにくに色がついたら取り除き、アンチョビを入れて木べらかき混ぜながら溶かす。
・イタリアンパセリのみじん切り、塩少々、こしょうを加えてクリーム状に煮詰める。
※ゆで肉やパスタのソースに。仕上げにケッパーのみじん切りや、トマトのパッサータ大さじ2~3を加えてもよい。




次回は生のアンチョビのリチェッタです。


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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2008年4月号
カタクチイワシを含む“青魚”の記事の解説は、「総合解説」08&09年4月号に載っています。

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