2011年10月25日火曜日

アッチューゲ・リピエーネ

今日は生のアンチョビのリチェッタです。


Bruschetta di Monterosso
これは前回紹介したモンテロッソの塩漬けアンチョビのブルスケッタ


アンチョビ(カタクチイワシ)料理が店のメニューにあって、しかも人気料理、という店は、いかにも地元人御用達のディープな地元料理の店、というイメージ。

Acciughe = Anchovies
メニューの一番上がアンチョビ!


↓看板料理の一つがアンチョビのフリットというジェノヴァの人気トラットリーア、ウーゴUgo。






生のアンチョビの代表的な料理は、マリネ、フリット、グラティナート、スカペーチェ、リピエーネなど。
どれも余りにシンプルすぎて、敢えて紹介するまでもないのですが、今回は少しは手の込んでいそうなものを選んでみました。
上の動画でもお客さんたちが盛んに美味しいと言っていた“アッチューゲ・リピエーネ”です。
リグーリアの名物料理でもあります。

基本は、開いたアンチョビ2枚で具をはさんで揚げる、という料理ですが、地方や店によって詰め物が少し違います。


まずはリグーリアのアッチューゲ・リピエーネ。

“リチェッテ・ディ・オステリーエ・ディ・イタリア”シリーズの『ペッシェ』から、ラ・スペツィアのオステリーア・ヴィーコロ・インテルノOsteria Vicolo Inthernoのリチェッタです。

アッチューゲ・リピエーネ Acciughe ripiene
材料:4人分
 生のカタクチイワシ・・40尾
 モルタデッラ・・150g
 フレッシュのタイム・・1枝
 卵・・1個
 パン・・150g
 パルミジャーノ・・60g
 牛乳・・1カップ
 オリーブオイル

・カタクチイワシは開いて骨を取る。
・パンは牛乳に浸してから細かく崩す。モルタデッラは細かい小角切りにする。
・パン、モルタデッラ、おろしたパルミジャーノ、タイムのみじん切りを混ぜ、溶いた卵を加えてつなぐ。
・魚の半量に詰め物をのせ、残りをかぶせてサンドする。
・油を塗ったオーブン皿に並べ、オーブンで30分焼く。
※ジェノヴァのアッチューゲ・リピエーネの詰め物は、パン、卵、パルミジャーノ、オレガノ、油でソッフリットにして骨を取ってすり潰したカタクチイワシかゆでたビエトラ(ふだん草)。
※オーブン焼きでなくフリットにする時は溶き卵とパン粉をつけて油で揚げる。



次はプーリア。
Giovanna Quaranta著、『La cucina pugliese』から。

アリーチ・リピエーネ Alici ripiene
材料:4人分
 生のカタクチイワシ・・800g
 おろしたペコリーノ・・150g
 卵・・2個
 レモン・・1個
 イタリアンパセリ
 小麦粉
 EVオリーブオイル
 塩

・カタクチイワシは開いて骨を取る。
・卵、ペコリーノ、イタリアンパセリのみじん切り少々、塩を混ぜる。
・魚2枚で詰め物をはさんで軽く押し固め、小麦粉をつける
・たっぷりの油で揚げ、皿に盛り付けてレモン汁をかける。



次はカラブリア。
Alba Allotta著、『La cucina calabrese di mare』から。

アリーチ・ファルチーテ Alici farcite
材料:4人分
 生のカタクチイワシ・・1kg
 硬くなったパンのクラム(白い部分)・・250g
 イタリアンパセリ・・1枝
 卵・・1個
 小麦粉
 EVオリーブオイル
 塩、チリペッパー

・カタクチイワシは開いて骨を取る。洗って水気をふき取り、塩をする。
・パンを水に浸して絞り、崩す。
・パン、イタリアンパセリのみじん切り、溶いた卵、塩、チリペッパー少々を混ぜる。
・魚の半量の身の側に詰め物をのせ、残りの半量をかぶせて軽く押し固める。
・小麦粉をつけてたっぷりの油で揚げる。



最後はサルデーニャ。
Laura Rangoni著、『La cucina sarda di mare』から。

アッチューゲ・リピエーネ・フリッテ Acciughe ripiene fritte
材料:4人分
 生のカタクチイワシ・・800g
 卵・・2個
 イタリアンパセリ・・1枝
 にんにく・・2かけ
 小麦粉・・100g
 レモン・・1個
 塩漬けアンチョビ・・8~10尾
 パン粉・・たっぷり一握り
 EVオリーブオイル・・大さじ4
 揚げ油
 塩、こしょう

・カタクチイワシは開いて骨を取る。塩漬けアンチョビは塩を洗い落として骨を取り、4枚の切り身にする。
・カタクチイワシに塩漬けアンチョビを1枚ずつのせて閉じる。
・卵、塩、こしょうを混ぜる。
・魚に小麦粉、溶き卵、パン粉の順でつけてたっぷりの油で揚げる。
・皿に盛り付け、プレッツェーモロとにんにくのみじん切りを散らしてレモン汁をかける。



なんと、生のアンチョビに塩漬けアンチョビを詰めるという、かなり奇想天外な一品。



acciughe impanate ripiene
動画で紹介されていたジェノヴァのウーゴのアッチューゲ・リピエーネ。



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関連誌;『ラ・クチーナ・イタリアーナ』2008年4月号
カタクチイワシを含む“青魚”の記事の解説は、「総合解説」08&09年4月号に載っています。

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