2016年2月8日月曜日

カンノーリ

今日から「総合解説」13/14年4月号の話です。

最初のお題はカンノーリ。

Ole's amazing cannoli



シチリア生まれでイタリアのドルチェのシンボル的な存在ですが、2千年以上の歴史があったのですねー。
ということは、アラブ人がやってくるより前からあったわけです。
古代ローマの政治家キケロが食べて、美味しかったと言ったことが、21世紀まで伝わっています。

ドラマ『ローマ』のキケロが登場するシーン。




冒頭のシーンの元絵はこれ
すごい再現度。

キケロは、政治上の問題でローマを追われて逃亡した先のシチリアで、カンノーリを食べて美味しいと言った、というか、正確にはカンノーリがどんな食べ物か説明しただけだったようですが、話がどんどん大きくなって、都市伝説が遠く日本の地まで伝わってきたんですねー。

でも、キケロが食べたカンノーリには、後にアラブ人が伝えることになるさとうきび糖も、カンディートもリキュールもチョコレートも入っていませんでした。

アラブ人がやって来た後のカンノーリの主役は、カルタニッセッタの町です。

Caltanissetta, atardeciendo.


シチリアの島のほぼ中央にあるこの町は、アラビア語では“Kal El Nissa女性の城“という意味で、サラセン人の太守たちのハーレムがたくさんあったそうです。
侍女から愛妾まで多くの女性が、太守の寵愛を得ようとカンノーリを作っていたそうですよ。
ハーレムという時点でかなり盛られていそうですが、

元々はカルタニッセッタの修道女がカーニバルのために作った神聖なお菓子だったのですが、アラブの支配が終わった時に、悔い改めた女性が修道院に逃げ込んで、サルタンの秘密のリチェッタは生き延びたのだそうです。
落ちまで完璧に出来上がったこの話が、カルタニッセッタの人が固く信じるカンノーリの歴史。
 


元祖はどこであれ、今やシチリア中で愛されるお菓子になったカンノーリ。

『サーレ・エ・ペペ』の中に、こんな一文が。

「シチリアでは、夕食に招かれた時の手土産で一番喜ばれるのがカンノーリだ。
ただし、数は最低でも12個用意するのがマナーだ」
とのこと。

わざわざ書くということは、イタリア人でもシチリア人でなければ、12個も持っていこうとは思わないってことですねー。

カンノーリとドーナッツは限りなく近い存在。
コンビニで売る日がこないかなあ。

ミニカンノーリと。
 ↓
mini cannolis


カンノーリの写真を見過ぎて、カンノーリがたまらなく食べたくなりました。

毎日好きなだけ食べられるシチリア滞在中の皆さま、うらやますい。

Colazione sicula




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“カンノーリ”の記事は、「総合解説」13/14年4月号に載っています。
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