新入荷の本、『カルニ・ロッセ』の紹介です。
カルニ・ロッセ、赤肉は、牛肉の代名詞。
正確に言えば、赤い色の肉全般のことで、羊肉や馬肉もこの分類に入ります。
でも、羊肉を指す時に、わざわざ赤肉とはあまり言いません。
やはり、牛肉です。
でも、イタリアンの牛肉料理は、ちょっとマイナー。
そもそも、古代ローマ文明では、肉と言えば、野生の動物を狩りで仕留めた狩猟肉のこと。
イタリアで牛肉が狩猟肉にとってかわったのは、ゲルマン民族の大移動以降の話です。
中世になっても、領主など権力者は牛肉を食べることができましたが、農民にとってはお祝いの日など特別な機会に食べる特別な料理。農民が牛肉を食べるようになったのは、なんと第2次大戦後のことです。
さらに、戦後の好景気の時代を経て、庶民の食事にも牛肉が広まっていきます。
牛肉と言えばステーキですが、イタリア語でステーキはbistecca/ビステッカ。
語源は英語のbeef steak。
ビステッカという言葉が広まったのは、一説によると19世紀。
トスカーナに移り住んだイギリス人がロース肉をスライスした切り身を地元の肉屋に注文する時にその切り身をこう呼んだのが広まったのだそうです。
別の説によると、16世紀のメディチ家の時代のフィレンツェでは、サン・ロレンツォの日の夜に広場で子牛肉のローストを焼いて食べる習慣があり、この祭りに参加したイギリス人の騎士が、フィレンツェの肉屋にビーフ・ステーキの肉のカットの仕方や名前を教えたのだそうです。
いずれにせよ、イタリアで牛は主に労働用で、フィオレンティーナは牛肉が主役の珍しい地方料理と言うことができます。
でも、面白いことに『カルニ・ロッセ』にはビステッカのリチェッタが15点も紹介されています。
“ビステッカ・アッラ・アッラビアータ”や、“ビステッカ・アッラ・ピッツァイオーラ”など、ありそうで初めて聞くようなステーキもあります。
アメリカでは、ステーキとイタリアンが出会って、ステーキとパスタの店が誕生しました。
↓
特大のステーキとパスタやピッツァの組み合わせが、アメリカで人気にならないわけがない。
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